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王位戦挑決リーグ 羽生九段挑戦権獲得に望みを繋ぐ

5月14日(火)に第60期王位戦挑決リーグ白組選 ▲羽生善治九段vs△千田翔太七段の対局が行われました。

本局は羽生九段が先手でなんと12年ぶりに先手四間飛車を選択されました。
図は後手の穴熊が完成する前に先手が積極的に動いたところです。
ここから後手の陣形整備の手順がうまかったです。
穴熊党の方は必見の手順なので是非参考にしてください。

図1より△2二銀▲4四歩△同金▲3八金△5三銀▲5九角△3二金▲7五歩△同歩▲1五歩△同歩▲4五歩△4三金引▲7五飛△7四歩▲7八飛△4六歩▲3七金寄△4二銀(図2)

▲4五歩に対し、単純に△同歩は▲6五歩が王手銀取りになります。
よって後手は4五歩を取ることが出来ませんので、まずは△2二銀として穴熊のハッチを閉めます。
先手も一気に攻め潰すことはできませんので歩を取り込んだ後に▲3八金として銀冠を完成させ強い戦いが出来る準備を整えます。
後手も△5三銀~△3二金として自陣をまとめていきます。
先手はこれ以上は守りが固くならず、手をこまねいていると後手の穴熊がどんどん固くなりますので攻めの形を作っていきます。
▲7五歩~▲4五歩としてまずは攻めの拠点を作ります。
▲4五歩に対して△同金とすると▲7五飛と走られる手が金桂両取りになるので、後手は△4三金引とします。
先手は歩切れを回収するため歩を入手して▲7八飛と引き上げましたが、ここで後手の△4六歩がそつが無い一手。
▲3七金と逃げますが、4七に駒を打ち込まれる傷ができたことと先手は3七角とする手を消されました。
先手はなかなか駒が前に進まず、攻めの形が作れません。
後手は△4二銀(図2)として、やっと強い戦いが出来る状態になりました。
穴熊党の方はご存じかと思いますが、穴熊は固いが完成すれば最強の強度を誇りますが、囲いが完成するまで手数がかかる上に完成前の状態は非常に脆いです。
図1の状態から図2の間、先手に速攻を許さない指し回しがお見事でした。
後手は3一銀右とできれば穴熊が完全体になりますので先手はそれを阻止するために動きます。

図2から▲6五歩△8六歩▲同歩△5五歩▲9七桂△6五桂▲6六銀△5六歩▲5八歩△6四歩▲8五歩△8一飛▲7四飛△5一飛(図3)と進行。

先手は▲6五歩として次に▲4八角△8一飛▲7四飛と捌く手を狙います。
後手の△8六歩と突き捨てた手が習いある一手。
△8六歩▲同歩の交換を入れることで▲4八角の時に△8六飛と走れるようになります。
先手は守りの固さでは勝ち目がないので、後手の飛車に成り込まれないようにしなければなりません。
▲9七桂は事前に桂馬を逃げつつ▲8五歩とする手を狙いますが、後手は△6五桂と中央に狙いを付けます。
基本的に攻め駒は中央から相手玉に向かって進むと有利になりやすいため、▲9七桂と△6五桂の交換は中央に進んでいる後手にポイントが入ります。
ここから穴熊ペースとなり振り飛車が徐々に苦しくなっていきます。
△6五桂に▲6六銀としましたが△5六歩と取り込んだ手が味の良い一手。
△5七歩成が実現すると△4七歩成から守りの金を取られますので▲5八歩と辛抱しますが、△6四歩が冷静な一手。
先手は▲9七桂とした手を活かすため▲8五歩から▲7四飛と捌きますが、後手は△5一飛として再度中央に狙いを付けます。
ここでは後手の駒の働きや自玉の堅さが優れていますので、後手有利の形勢になっております。

本譜は図3より
▲4四歩△同金▲6五銀△5七歩成▲同歩△同飛成▲4八角△同竜▲同金△6五歩▲4九歩△5五角▲5六歩△4七歩成▲5五歩△3七と▲同玉△4五金▲2八玉△4七歩▲3八金(図4)

▲4四歩から▲6五銀と桂馬を取り、△同歩には▲4四飛と金を取る手を見せましたが、構わず5筋を突破され先手は苦しい形勢が続きます。
竜と角を交換した後△6五歩と銀を取った局面、▲4四飛には△6六角とする手が飛金両取りになるため、先手は▲4九歩と金に紐を付けましたが、この手が疑問手で後手の有利が拡大しました。
現状、穴熊に嫌味がなく後手の攻めが続くため、守備一方の展開を先手は避けなければなりません。
穴熊を攻めるには弱点の端を攻めなければならないので▲1三歩として少しでも穴熊を弱体化させておく必要がありました。
本譜は▲4九歩に対して△5五角と4四金に紐を付けつつ中央に大砲を据えられ先手がかなり苦しくなりました。
△5五角の効きを緩和させるため▲5六歩としますが、後手は△4七歩成から守りの金をはがして△4五金と前進します。
次に△4六角とされると先手陣が崩壊するので▲2八玉と早逃げしますが△4七歩と厳しく追撃されます。
▲同金は△4六金とされ攻めが加速しますので▲3八金と辛抱するのは仕方のないところ。
後手は快調に攻めていましたが、ここで悪手が出ました。

本譜は図4から
△5七角成▲5四角△1六歩▲1三歩△1七銀▲同香△同歩成▲同玉△1四香▲1六銀打△同香▲同銀△1三桂▲同桂成△同香▲1五歩(図5)

△5七角成が一手パスに近い手となり形勢が一気に縮まりました。
▲5四角と金の両取りを掛けられ穴熊に火が付き始めます。
△5七角成のところでは△1六歩として端からの攻めを目指せば後手有利を維持できていました。
本譜は遅ればせながら△1六歩としましたが本譜のように進んだとき▲3二角成が詰めろになるので後手はかなり忙しくなっています。

本譜は図5より△2五桂▲同銀△2九銀▲2八金△1五香▲1六香△同香▲同玉△1三香▲1五歩△3一金▲2九金(図6)

後手は△2五桂から激しく攻め立てます。
後手優勢だった形勢が互角に戻ったことで互いに心理状態が乱れミスが出ます。
まず、先手は△2九銀に対して▲2八飛と駒を投資して守らなければなりませんでした。
以下は△1六歩▲同銀△3八銀成▲同飛△1五香といった手順で端から殺到する将棋になりますが、まだまだ互角の将棋が続いていました。
本譜の▲2八金は危険な一手で△3九馬と潜り込まれると△1五香▲1六歩△2八馬以下の詰めろとなっており、先手には受けに適した駒がないので後手勝勢になっていました。
しかし、後手がこの手順を逃したため一転して先手が優勢になりました。
本譜は後手の攻めが続かず△3一金としましたが▲2九金と銀を取られ、先手陣に憂いがなくなり後手が勝てない将棋になりました。

図6から△4四金▲6三角成△1五香▲2七玉△4六馬▲1四飛△1三歩▲1五飛△5四歩▲3七銀△5六馬▲3八香(図7)

△2九銀を取り外されてからは後手の攻め駒が不足しております。
先手は惜しげもなく駒を自陣に投入し、後手の指し切りとなりました。
以下は羽生九段がきっちり押し切りました。
本局は後手が勝ちまであと一歩のところで躓きましたが、途中までの指し回しは穴熊の理想的な駒組からの反発でした。
穴熊党必見の大変勉強になる手順ですので、是非棋譜並べで参考にしていただければと思います。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。


瞬間を生きる [ 羽生 善治 ]

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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