投稿タイトル上

藤井七段 棋王戦予選8組決勝進出

5月15日(水)に第45期棋王戦予選 ▲藤井聡太七段vs△牧野光則五段の対局が行われました。

戦型は後手の牧野五段の誘導により一手損角換わりから右玉の持久戦となりました。
互いに隙を見せない駒の繰り替えが続き膠着状態が続いておりましたが、図1は△牧野五段が遠見の角を活かして△3五歩~△3六歩を狙ったところ。

本譜は図1から▲2六飛△3五歩▲同歩△1四歩!▲2四歩△同歩▲2五歩△1五歩▲2四桂△同桂▲同歩△1四桂▲2五飛△1三桂!(図2)と進みました。
後手の狙いである△3五歩からの桂頭攻めを防ぐため先手は▲2六飛としますが△3五歩~△1四歩としたのが遠見の角を活かして第2弾の攻め。
▲同歩は△1八歩で香車を取られますので、先手は▲2四歩として攻め合いに活路を見出します。
▲2五歩に対して△同歩は▲同桂とされ、先手に攻めに勢いが付きますので後手は△1五歩として攻めを催促します。
先手は▲2四桂と桂馬を逃げつつ攻めを図りますが、後手は桂馬を交換した直後に△1四桂~△1三桂として、先手の攻め駒を執拗に攻め立てます。

ここで▲1五飛とすると△3六歩とされ①▲1四飛は△3七歩成▲同玉△2五桂が王手飛車取り、また②▲2五桂としても△2四銀で▲1四飛は△3七歩成から上記の手順で王手飛車、▲1三桂成は△同香で先手の攻めが頓挫します。
図2の局面で▲2九飛と逃げるのは△2八歩▲同飛△2七歩▲2九飛△3六歩で先手が面白くありません。
先手が困ったようですが、ここからの攻めのつなぎ方が凄かったです。
本譜は図2より▲3四桂△同銀直▲1五飛△3六歩▲3四歩△3七歩成▲同玉△3四銀▲3五歩△2五銀▲4八玉△3一桂▲1二歩△同香▲3四銀△2七角成▲5八玉△2六馬(図3)

飛車取りの瞬間に▲3四桂と打った手が攻めを継続させる鬼手。
対して①△1二玉は▲2三角と打ち込まれ△2一玉▲3二角成△同玉▲2三歩成で先手勝勢。
②△3一玉は▲2三歩成△2五桂▲3三と△同金▲4二銀で寄り。
③△2一玉は▲2三歩成△2五桂▲同桂△2八飛▲5九玉△2五飛成▲3三と△同金▲2二銀で先手良し。
いずれの手順も先手の攻めが続くため、▲3四桂に対して後手は△同銀直と応じます。
そこで▲1五飛とした手が3手1組の好手順。
後手は銀取りを逃れられなくなっています。
しかし後手も△3六歩として最善の粘りを見せます。
先手玉を3七に引っ張り出したことにより▲1四飛と桂馬を取ると△2五桂で切り返せるようにしています。
上記の変化を避けるため、先手は4八玉として安全地帯に逃げましたが、後手も△3一桂と自陣に駒を投入して守りを固めます。
△3一桂が非常に粘りのある手で後手玉がかなり寄せ辛くなりました。
先手は▲4八玉とするより▲2三銀から攻め込む方が優れていました。
一例として、▲2三銀△同金▲同歩成△同玉▲4三角△2六銀打▲4八玉△1五銀▲3四金。
まだまだ難解な局面ですが、微差ながら先手が優位を保てました。
図3の局面以降、本譜は▲1四飛△同銀▲同香△3三歩▲2三桂!(図4)と進行。

▲1四飛が強手。先手の攻めはぎりぎり繋がっています。
▲2三桂に対して△3四歩と銀を取る手は▲1一角△2一玉▲1三香成△同香▲3三桂で寄り筋。
先手は玉形が不安定な上、攻め駒も多くないので自陣と敵陣の両方を細部にわたって読まなければならず、かなり読み辛い局面で実戦的に大変な局面になってきました。
本譜は図4から△同桂▲同歩成△同金▲同銀成△同玉▲1三香成△同玉▲3八桂△4九銀(図5)と進みました。

駒を清算した後に▲3八桂と打った手が感触の良い攻防の一手。
△1八飛などの王手を消しつつ馬取りとなっていて、のちのち後手玉が上部に逃げる展開になった時に2六の地点に効くので攻めにも活用できる展開が見込めます。
ここで後手が指した手は△4九銀!
▲同玉は△5九飛で詰みますので先手は逃げるしかありません。
この手を見た瞬間は良い切り返しに見えましたが、後の展開を見ると良くありませんでした。
その理由は数手進むと盤上に表れます。
本譜は図5から▲6八玉△3八銀不成▲同銀△3九飛▲4九銀打△1九飛成▲4三角△2二香▲3四歩△同歩▲同角成△3三歩(図6)

後手は桂馬を取り、△3九飛と打ち込みましたが▲4九銀打とがっちり受けられ、次に▲2九金と飛車を捕獲する手を見せられます。
△1九飛成と逃げましたが、▲4三角が急所を捉えた一手。
次に▲2五金と上部を封鎖する手がありますので△2二香と守りますが、▲3四歩が厳しい追撃。
▲3三歩成とされると粘りが効かなくなるため、△同歩としますが▲同角成とされた局面は後手の持ち駒には受けに適した駒がないので守りようがありません。
また図4~図5では不安定だった先手陣が図6では安泰になっています。
先程、△4九銀とした手が手順に先手玉を安全な場所に移す結果となり、後手は勝ち目が無くなりました。
戻って△4九銀のところでは、△3一桂か△5二金として急所の▲4三角を打たさないようにしておけば後手十分の形勢でした。
図6から藤井七段が明快な手順で勝利を決めます。
本譜 ▲2四銀△1四玉▲1五歩△同馬▲同銀△同竜▲1六歩△3四歩▲1五歩△同玉▲3三角(投了図)まで先手勝ち。

▲2四銀が決め手。△同香は▲2三金△1四玉▲2四馬で詰み。
後手は△1四玉と逃げるしかありませんが▲1五歩とされ後手は大駒を1枚取られます。
本譜は△同馬▲同銀△同竜と進みますが、ここで3四の馬を逃げずに▲1六歩とした手が分かりやすい決め方。
竜を逃げると▲1五金から詰まされるので△3四歩と馬を外しますが、▲1五歩と竜を取られると先手玉に脅威がなくなり、後手は守りに効いていた竜と馬が盤上から消されました。
投了図は王手香取りで後手唯一の守り駒である2二の香車を外されます。
攻守共に見込み無しのため、ここで投了となりました。
本局は藤井七段の踏み込みの良さと攻守における読みの深度・正確さ、そして牧野五段の攻め駒を責める強い受けが光った一局でした。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。


藤井聡太全局集 平成28・29年度版【電子書籍】

The following two tabs change content below.
habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

下をクリックして応援いただけると幸いです。宜しくお願い致します。。

本文2
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク