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豊島新名人誕生 新時代の幕開け

5月16日(木)~17日(金)に第77期名人戦 第4局 豊島二冠vs佐藤名人の対局が行われました。

ここまで豊島二冠が3連勝して迎えた名人戦第4局。
個人的にはハイレベルな戦いをもっと見たかったので今局はひそかに佐藤名人を応援していました。
戦型は豊島二冠の先手で第1局の千日手局、第2局・第3局に続く角換わり腰掛銀となりました。
1日目でかなり手が進みましたが、先手が戦機を見出せず駒の繰り替えを繰り返しているように見えたので後手まずまずの分かれに見えました。
しかし封じ手の局面の直前に打った▲1六角がなかなかの一手で豊島二冠の充実度を感じました。
第3局の△2二角と同様にこの自陣角が働かなければ一気に不利になるので、名人戦という大舞台でこの手を選択されたことに改めて驚きました。

1日目はこの局面で名人の封じ手となりました。
封じ手は△8六歩。
以下▲同歩△4三銀▲6六歩△同歩▲6五歩△8六角▲同銀△同飛▲8七歩△8五飛(第2図)と進みました。

△4三銀と引いた手を見て、手薄になった6筋を攻めて先手は角銀交換の駒得となりました。
ただ先手は貴重な歩を使ったことと1六角が働く目途が立っていないので形勢は互角です。

第2図から▲3五歩△同銀▲5五角△4四歩▲6六角△2四銀▲5五銀(第3図)と進みました。

▲3五歩は1六角の効きを活かした一手で△同歩には▲4三角成!という強手があり△同金は▲2三飛成、△同玉には▲3四銀!があります。
以下①△同玉は▲1六角△2五銀▲同角△2四玉▲4三角成、②△5四玉は▲4一角△4二金▲7四角成、③5二玉は▲4三角△同金▲同銀成△同玉▲2三飛成でいずれも後手陣が崩壊します。
よって後手は△同銀としますが、先手は▲5五角から6六歩を払って自陣の傷を消しつつ歩切れを解消します。
後手も△4四歩で桂取りを確定させ、△2四銀で香取りも確定させました。
微妙なバランスが保たれており形勢は互角です。

本譜は第3図から△4五歩▲同歩△1五銀▲4四歩△5二銀▲3四角(第4図)と進行しました。

△4五歩~△1五銀と後手は駒を入手した結果、角と銀桂香の3枚替えで後手が駒得になりましたが、▲4四歩の拠点が大きいのと懸案事項だった1六角を3四に進めることができたので、ここでは微差ながら先手が良くなったように感じました。
私の所感では△1五銀と▲3四角の応酬は、1六角が働いたことで次に▲2三角成という手が残るので、後の先を取った豊島二冠にポイントが入ったように感じました。
△1五銀に代えて△6七歩と打ち先手陣に楔を入れるか△8六歩~△同飛~△7六飛と揺さぶってどうか・・・
いずれの手順も攻めが目的というよりは先手に一方的な攻めを許さないのが目的の揺さぶりです。
▲3四角とした局面は角が6七の地点にも効いているので、後手から攻めるのが難しくなりました。
攻め合いに行くことが難くなったため後手は右辺からのB面攻撃に切り替えます。

本譜は第4図から△3八銀▲1九飛△1六香▲同角△同銀▲5六金(第5図)と進行。

後手は△3八銀と飛車金両取りを掛けます。
部分的には両取りが決まっているのですが、この局面では▲1九飛と飛車を逃げつつ銀取りにする手がありました。
後手は△1六香と飛車取りにしつつ銀を守ります。
先手は飛車を逃げると4七の金を取られますので▲同角と応じます。
以下△同銀▲5六金とした局面、銀取りと▲8六香の飛車取りが残っているので形勢は先手良しです。

本譜は第5図から△2五銀▲8六香△6五飛▲同金△同桂▲8八玉△7五歩▲3三歩△同金▲1五飛△6九角(第6図)

△2五銀と逃げましたが、先手は予定通り▲8六香から飛車の捕獲に成功します。
そして▲8八玉と入城した手が冷静な一手。
9筋の位を取っているので玉を一つ上げるだけで先手玉は相当寄りにくくなります。
対して後手は△7五歩としましたが、これが油断のならない一手。
この手は△7六歩と歩を取り込む手が狙いと見せかけて、実は△7四桂▲7五角△3七角の飛銀両取りが真の狙いです。
先手は▲1五飛と銀に当てつつ上記の筋を回避します。
後手は△6九角と銀を守りつつ先手玉に狙いを付ける粘りを見せます。
まだまだ手数がかかると思われましたが、ここから豊島二冠の寄せが素早く正確無比でした。

第6図から▲6三歩△同金▲6八金△3六角成▲2二飛(途中図)△3二歩▲2一飛成△2四金▲2五飛△同金▲3四歩△4一歩▲4三銀△同銀▲同歩成△同玉▲2三竜△5二玉▲6四桂(投了図)まで先手勝ち。

▲6三歩△同金の交換を入れてから▲2二飛が正確な寄せでした。
王手桂取りですが後手は桂馬を守る手段がありません。
先程▲6三歩△同金の交換を入れておいた効果で△3一玉には▲5二飛成と銀を取ることができます。
本譜は△3二歩と受けましたが先手は悠々▲2一飛成と桂馬を入手できました。
その前に▲6八金として急所の角を自陣から遠ざけた手も抜かりない手です。
途中、▲2五飛に対して△同馬は▲3三歩とする手がピッタリの一手で△同歩は▲5一銀、△同玉には▲4五桂△3四玉(4二玉は▲5一銀)▲3二竜△4五玉▲5六銀で詰みとなります。
上記の筋があるため△同金としますが▲3四歩が決め手。
後手唯一の望みである上部脱出ルートを封鎖され、後は一手一手となりました。

投了図以降△同金は▲同銀とされて▲5三竜や▲4三銀などの攻めを防ぐことができず、また△6二玉と逃げるのも▲2五竜と金を取った手が▲5二金からの詰めろとなっており、受けても▲3六竜と馬を取られて攻守共に見込み無しとなります。

本局は豊島新名人にミスらしいミスがなく、まさに正確無比の指し回しでした。将棋の内容が素晴らしく、とても充実されていることが分かりました。
一方、佐藤前名人は残念でした。この時期にピークを合わせるのが上手く、名人戦では無類の強さを誇っていましたが今シリーズは相手が強すぎました。
本局では佐藤前名人に大きなミスは無かったのですが、豊島二冠がそれ以上に完璧でした。
この結果、豊島三冠が誕生しましたが、将棋の内容が他を凌駕しており新しい時代が到来したことを感じました。
ハイレベルな対局と新時代到来の瞬間を見る事ができて良かったです。
お二方共、お疲れ様でした。また、最高の将棋を見せていただき有難うございました。
今後ますますのご活躍を祈念しております。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。


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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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