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《竜王戦》佐藤九段 橋本八段との激戦を制し2組優勝

5月23日(木)に第32期竜王戦2組 ランキング戦決勝 ▲佐藤天彦九段vs△橋本崇載八段の対局が行われました。

戦型は佐藤九段の先手で三間飛車対銀冠穴熊となりました。
第1図は先手が▲1六歩と突いたところ。

個人的には有効な手が多い居飛車の作戦勝ちと見ていました。
居飛車側には▲8八金~▲7八金右~▲5九銀~▲6八銀と指したい手が山ほどあり、膠着状態が続くとどんどん固くなります。
逆に振り飛車側はこれ以上囲いを整備しても穴熊より固くなることはないので、居飛車側がこれ以上固くなる前に無理気味にでも攻めなければいけなくなっています。

第1図以下の指し手
△3五歩▲2六飛△4五歩▲2四歩△同角▲同飛△同歩▲1一角成△4九飛▲2一馬△4二飛▲3三角△4一飛▲1二馬△4八飛成▲4四香△3一飛▲2二角成(第2図)

振り飛車側から戦端を開き、互いに捌き合ったこの局面をどう形勢判断するかは人によって分かれそうですが、厳密には駒得が約束されている先手が微差ながらリードを奪っているように思えます。
方針としては居飛車側は駒得を生かすためにスローペースにして2枚の馬を働かすことができれば優勢になります。
振り飛車側は駒損しているので早い展開にして馬が働く前に先手陣を崩せれば勝機が見えます。

第2図以下の指し手
△8五歩▲4二香成△8六歩▲同銀△8七歩▲8八歩△6五桂▲3一馬△8八歩成▲同玉△5七桂成▲同金△6九銀▲6八桂△5七竜▲5二成香△同金▲8四歩(第3図)

△8五歩は攻めるならここしかないところ。
互いに右側から攻め合う展開になると一路遠い穴熊の特徴が生かされます。
縦の攻めを組み合わせることで速度を上げようとしています。
攻めか守りか、先手はどちらを選択するか方針の決定が難しいところでした。
2二馬を守りに効かせて戦うのか、それとも攻め合う展開に持っていくのか。
佐藤九段は▲3一馬として攻め合いの方針を選択されました。
一本道で進んだ第3図の局面、▲8四歩が思い切った大胆な1手。
▲7七銀打と守りを固めておく方が安全勝ちを見込めましたが、▲8四歩は佐藤九段らしい強気の攻めでした。

第3図以下の指し手
△8五歩▲同銀△8六香▲8七桂(第4図)

△8五歩が厳しい1手。
▲8三銀としても後手玉を詰ますには至らず、また先手陣は駒を渡すと詰みますのでここは▲同銀と取るよりありません。
ここで後手は△8六香と打ちましたが△8六金という手も見えます。
先ほど同様、後手玉に詰みはない上に△8七香▲9九玉△8九香成▲同玉△7八銀成▲同玉△7七金打▲8九玉△8八歩からの詰み筋と△8五金と銀を取る手が残っていて先手が困っているようですが・・・
▲8三銀△同銀▲同歩成△同玉▲8四歩△7三玉▲6五桂△同歩▲8六馬と金を抜く筋があります。
他に逃げ方を変えるなど変化は多岐に渡りますが、いずれの変化も先手がかろうじて残しています。
本譜△8六香に対して▲8七桂と受けた局面、次の1手が明暗を分けました。

第4図以下の指し手
△8一玉▲3四馬△5一金▲4四馬△6一金▲4一飛△8二歩▲9五歩(第5図)

△8一玉が敗着に近い1手。
本譜は▲3四馬~▲4四馬で遊びかけていた馬が攻めながら守りにも働く絶好の展開。
先述の通り、先手の馬が働く展開になると形勢は明確に先手優勢となります。
後手としては△7八銀成▲同玉△8七香成▲同玉△6七竜、もしくは△8七香成として▲同金には△8六歩▲同金△6八竜、▲同玉には△8六歩▲同玉△7八銀不成といった攻めに活路を見出すべきでした。
本譜のように後手が受けに回る展開になると先手の指し手が明確になる事と、それ以上に精神的余裕を持てることが大きく、後手は非常に勝ちづらくなります。
▲4四馬 以降、攻守が入れ替わり後手は指し手に屈する事となりました。

第5図以下の指し手
△9二香▲8三歩成△同歩▲9四歩△7八銀成▲同玉△8二金▲7一銀△8七香成▲同玉△6七竜▲7七桂まで先手・佐藤九段の勝ち。

投了図、後手は攻防共に見込みが無いため投了やむなし。
本局は振り飛車側が終始対応の難しい局面が続きました。
現代将棋は固さからバランスへと移っていってますが、本局のように拮抗した形勢のまま終盤に進むと固い陣形の穴熊が実戦的に勝ちやすいように感じます。
振り飛車受難の日々が続いていますが、個人的には色々な戦型を見ていきたいので今後 振り飛車勃興の日が来ることを期待したいと思います。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。


天彦流中盤戦術 「局面の推移」と「形勢」で読みとく (NHK将棋シリーズ) [ 佐藤天彦 ]

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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