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《竜王戦》梶浦四段 壮絶な打ち合いの末に牧野五段を破る!

5月26日(日)に第32期竜王戦6組 ランキング戦決勝 ▲梶浦宏孝四段vs△牧野光則五段の対局が行われ、梶浦四段が6組優勝を決めると共に決勝トーナメントへの切符を手にしました。

本局は梶浦四段の先手で相矢倉模様の出だしとなりましたが
第1図の局面から梶浦四段が機敏かつ柔軟な対応を見せました。

第1図以下の指し手
▲4六角△6四銀▲6六歩△同歩▲同銀△6二飛▲5九玉!△6五歩▲5七銀△7五歩▲同歩△7二飛(第2図)

▲4六角に対して△9二飛は攻撃態勢が作れず作戦負けに陥りますので△6四銀としますが▲6六歩が▲4六角と連動した機敏な仕掛け。
▲4六角がよく効いていて後手は角のラインが非常に受けづらくなっています。
後手は6筋の歩を取り込んでから△6二飛とすることで角のラインを避けつつ先手玉に狙いを付けましたが、先手の▲5九玉が形にとらわれない柔軟な1手。
後の展開で左辺が主戦場になることを見越し、事前に戦地から離れる深謀遠慮な対応でした。
△6五歩として6筋を治めた後 △7五歩~△7二飛と積極的に動きましたが、これが良くありませんでした。

第2図以下の指し手
▲6六歩△7五飛▲7六歩△同飛▲6七金右△7四飛▲6五歩△7三銀▲6六銀△3一玉▲7七桂△9二香(第3図)

再度▲6六歩とした手が後手の7筋からの動きを咎めた1手。
△7五飛に対する▲7六歩が的確な対応で第3図まで進んでみると6五歩の位を先手に奪われた上に先手の金銀が前に進み、逆に後手の銀が後退させられる結果となり形勢は先手有利に傾きました。
6五歩の位は互いに重要な拠点なのですが、本譜は後手の動きが軽快すぎたため6五の位を奪還されてしまいました。
戻って△7五歩~△7二飛のところでは△7三桂~△6三金などの手厚い指し方が必要でした。
第3図以下の指し手
▲8五桂△8四銀▲8二角成△8五銀▲9二馬△8四飛▲5五歩△7五桂▲5七金△7六銀▲5四歩△4二角▲2四歩△同歩(第4図)

▲8五桂はチャンスを逃しました。
▲7五歩としておけば先手は優位を維持できていました。
△同角は▲同銀△同飛▲6六金△7四飛▲8三角。△8四飛は▲7六金から抑え込みが図れました。
本譜は角を成り込み香車を入手しましたが、その間に後手は遊びかけていた銀を手順に攻めに使えることができましたので楽しみが出てきました。
第4図の局面、形勢はわずかな差で先手良しですが、第3図の局面より差は縮まっています。

第4図以下の指し手
▲7七歩△8七桂成▲同金△5八歩▲同飛△8七銀成▲8五歩△同飛▲7四馬△8二飛▲8四歩△5六歩▲同銀△5五歩▲4七銀△7三金▲9六馬△8六成銀(第5図)

▲7七歩が強手。後手が8筋から攻めようとしているところに、攻めて来いと催促した手で一つでも読み間違えれば奈落の底に落ちますので覚悟がいる手です。
△8七桂成から攻めますが、▲同金に対して△同飛成とすると▲8八香と打たれ竜が討ち取られます。
△5八歩が細かい利かしで▲同飛以外は△8七飛成とされます。
玉飛接近の悪形を強要してから△8七銀成としますが、先手も▲8五歩から馬を引き付けて後手の飛車の動きを制限します。
ここから互いの意地がぶつかった壮絶な打ち合いになります。

第5図以下の指し手
▲5三歩成△9六成銀▲5二と△同飛▲9六歩△8二飛▲2三歩△1四歩▲5五銀△7四金▲8四歩△6五金▲6六銀(第6図)

駒がぶつかっているところに、さらに駒をぶつける凄まじい応酬。
この将棋はお互い自陣に手を入れても守りが堅くなる将棋ではなく、逆に相手の攻めに飲み込まれかねない状況になっています。
本譜は両者とも守りは最小限にとどめて駒を前に進め続けます。
△6五金と前に出た手に対して、これまで前に出続けた先手が▲6六銀と引いた局面、後手に一瞬だけチャンスが訪れていました。

第6図以下の指し手
△6四角▲4六桂△5六歩▲同金△同金▲同飛△5五歩▲同銀△7五角▲6六金△4二角▲4四歩(第7図)

△6四角がチャンスを逃した悪手。
△6四角に代えて△5六歩▲同金△同金▲同飛△5五歩としておけば勝負形でした。
▲5五同飛は△7三角打、▲同銀には△6五金の要領で先手の飛車を目標に攻めていけば後手に十分勝機がありました。
本譜は△6四角としたことで後の▲5五同銀が角に当たり、△4二角と引き上げなくてはいけなくなりました。
終盤戦における1手パスは形勢を大きく損ねます。
本局においては、この後 先手にミスなく進められ後手に勝ち筋は生まれなかったので△6四角が事実上の敗着となってしまいました。
1手の余裕を得た先手は▲4四歩と突きましたが、これが後手の急所を突きました。

第7図以下の指し手
△8四飛▲4三歩成△同金▲4四歩△8八飛成▲6八銀△5三金▲4三歩成△同金▲4五香△8七角▲7九金△9九竜▲4三香成△同馬▲4四歩△6一馬▲5四銀△3二金(第8図)

格言「金は斜めに誘え」の通り、先手は4三の地点を攻め続け、あっという間に後手陣を弱体化させました。
後手も手を尽くして囲いを修復させますが、ここから先手は的確な攻めで矢倉囲いを攻略します。

第8図以下の指し手
▲4五桂△4四銀▲4三歩△同金▲同銀成△同馬▲3四桂(第9図)

先手は徹底的に4三の地点を攻め続けます。
第8図の▲3四桂が決め手。
△同馬は▲2二金△4一玉▲3二金打で詰むため後手は桂を取ることができません。
第6図で後手は△6四角として▲4六桂を打たせたのですが、皮肉なことに最後の最後にこの桂馬が決め手として働くことになりました。

第9図以下の指し手
△5四香▲2二歩成△4一玉▲3二金△5二玉▲4二桂成△6一玉▲8三角△7二銀▲4三成桂△5六香▲同角成△5四香▲5五歩△6七歩▲6四香まで先手・梶浦四段の勝ち。

投了図以降は△7一玉▲6二角△8二玉▲9二金で詰みとなります。

本局は後手のわずかな隙を突いて▲4六角~▲6六歩~▲5九玉と動いた手が機敏かつ柔軟な対応で先手がペースを握りました。
終盤の矢倉崩しも基本に忠実な攻め方でとても勉強になる攻め方でした。
終始、梶浦四段の積極的な指し回しが光っており本戦トーナメントでもこの積極性で勝ち進む活躍を期待したいと思います。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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