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渡辺二冠 竜王戦1組優勝 いざ、決勝トーナメントへ

5月29日(水)に第32期竜王戦1組 ランキング戦決勝 ▲永瀬拓矢叡王vs△渡辺明二冠の対局が行われました。
両者とも既に本戦トーナメント進出が決定していますが、現在乗りに乗っている二人の対局ということで注目度の高い一戦でした。

本局の戦型は永瀬叡王の先手で角換わり腰掛銀となりました。
第1図は先手が▲6六歩と突いたところ。
ここから互いに間合いをはかった駒組みをします。

第1図以下の指し手
△5二玉▲6九玉△4一玉▲7九玉△4二玉▲8八玉△5四銀▲6七銀△4四歩▲5六歩△3一玉(第2図)

お互い意図的に手損をして仕掛けやすい状態を作ろうとします。
最近の角換わりは難しいですね(;´Д`)
▲6七銀~▲5六歩の駒組みは前例がありますが、主観としてはバランス重視の現代将棋らしくない駒組みのように感じます。
攻守両面に使う5六銀を6七に引いた手は守りは堅くなるメリットがありますが、デメリットとして攻撃力が落ちます。
攻めのバリエーションも▲4五歩~▲5五歩~▲4五桂といった攻めくらいなので単調な攻撃になりやすいです。

第2図以下の指し手
▲4五歩△同歩▲3五歩△6五歩▲同歩△8六歩▲同銀△4六歩▲2四歩△同歩▲3四歩△同銀▲5五歩△同銀▲2四飛△6六歩▲5八銀△5六角(第3図)

先手はこれ以上有効な手待ちがないので▲4五歩から仕掛けます。
後手も△6五歩~△8六歩として先手玉のこびんをこじ開けます。
こうすることで△4四角や△3三角といった反撃手段を用意し、先手の攻めを牽制しています。
△4六歩は先手に圧力をかけた手で△4七歩成▲同金△3八角の筋をチラつかせて先手を焦らせます。
△4七歩成が来る前に攻める手を考えなければいけませんが、先手は右銀を守りに使っていますので、ここでは有効な攻め筋がないように見受けられます。
本譜は▲2四歩~▲3四歩~▲5五歩と△3三角の筋を消してから▲2四飛と攻めましたが、△6六歩が厳しい1手。
▲5八銀と逃げますが金銀の連結が無くなり、先手陣が一気に薄くなりました。
△5六角が攻防に効いた味の良さそうな1手。
第一感では後手の駒が急所に集まってきているので、後手指しやすそうに見受けられましたが具体的に良くする手順がないので実際には互角に近い形勢と思われます。
ここから先手が上手く立ち回りました。

第3図以下の指し手
▲2二歩△同金▲5七歩△7八角成▲同玉△3三金▲2九飛△2四歩▲3五歩△同銀▲4五桂△3二金▲6四歩△同銀▲1七角△3四歩▲3五角△同歩▲2四飛△5四角(第4図)

▲2二歩で形を乱してから▲5七歩の催促が良い組み合わせでした。
△7八角成で角金交換になり先手が駒得してますが、先手陣の守り駒がなくなっているのでバランスは取れており形勢は互角です。
△3三金~△2四歩として局面を治めようとしますが、▲3五歩から先手が猛攻を仕掛けます。
先手陣は薄い形なので怖いところですが、ここで攻めの選択をしたことは好判断でした。
第3図の局面から攻守が逆転し、今度は逆に先手の駒が急所に向かっています。
先手好調の流れになっているので、このまま攻め潰すかと思われましたが・・・

第4図以下の指し手
▲2二歩△4五角▲5六銀△3四金▲2一歩成△4二玉▲2九飛△5六角▲同歩△2八歩▲同飛△3六桂(第5図)

▲2二歩に対して後手は△4五角と桂馬を取りました。
駒を取りながら王手になっているので調子が良さそうですが、▲5六銀と打たれると、角取り・▲2一歩成・▲6四飛といった複数の攻めが残りますので後手としても勇気のいる1手です。
△3四金と飛車に当てつつ角に紐を付けますが、▲2一歩成と王手で桂馬を取り返されました。
△4二玉と逃げた局面、先手はここが勝負所でした。
ここで▲4五銀と角を取り、△2四金には▲4四桂と攻めていけば先手優勢の局面でした。
先手陣は6七に金や銀を打たれると脆いですが後手の持ち駒は飛車・桂だけですので、この局面に関しては飛車を渡してもまだ耐久性があります。
しかし、本譜は▲2九飛。痛恨の逸機でした。
△5六角と銀を取られ、△2八歩~△3六桂と畳み込まれ急転直下の逆転となりました。
飛車を横に逃げると後手に脅威がなくなり、縦に逃げると4八桂成と金と取られた上にさらに銀取りになります。
先述の通り、先手は6七に打ち込む駒を渡さなければ耐久性があったのですが本譜の手順は6七に打つ駒を渡してしまったため、あっという間に逆転しました。
前進して踏み込んでいけば勝ちが近づいていたところですが、渡辺二冠の見えない圧力が飛車を引かせたのか・・・永瀬叡王にとって悔やんでも悔やみきれない逸機となりました。

第5図以下の指し手
△6七銀▲同銀△同歩成▲同玉△6六歩▲7八玉△6七銀▲8八玉△2八桂成▲3二と△同玉▲4四歩△同金▲2五角(第6図)

△6七銀から清算して再度△6六歩~△6七銀とした手が分かりやすい攻め。
6七に銀を置いておくと△7八飛や△7八金といった横からの攻めと△7六銀成~△8六飛といった縦の攻めが狙えます。
先手は縦横の攻めを同時に守ることができません。
第6図から後手が収束に入ります。

第6図以下の指し手
△7八飛▲9七玉△9五歩▲同歩△7六銀成▲3三歩△2二玉▲2三歩△1三玉まで後手・渡辺二冠の勝ち。

△7八飛から△9五歩が基本通り「端玉には端歩」の攻め。
優勢のときは難しいことをする必要はありません。
基本に忠実の攻めで先手玉を追い詰めました。
△7六銀成とした局面は△9六歩▲同玉△8六飛▲同歩△8七銀▲9七玉△8八飛成の詰めろになっています。
先手玉は受けが効かない状態になっており、▲8八金と受けても△9五香▲9六歩△同香▲同玉△8六成銀▲同歩△同飛▲同玉△8八飛成 以下即詰みに討ち取られます。
投了図では後手玉に詰みは無く、対して先手玉は受けが効かないため投了やむなしです。

本局は永瀬叡王の研究範囲であったと推察されますが、渡辺二冠の対応が的確で永瀬叡王を寄せ付けませんでした。
タイトルを奪取し、充実著しい永瀬叡王を後手番で返り討ちにするとは・・・
元々強い棋士でしたが、最近の強さは化け物じみた異常な強さになっています。
渡辺二冠は現時点で棋界最強と言っても過言ではありません。
いったい誰がこの男を止められるのか・・・豊島名人しかいませんね。
同日、豊島名人も王座戦トーナメントで勝利を挙げ好調を維持しています。
両者とも最高の状態で迎える棋聖戦が楽しみで仕方ありません。
棋聖戦五番勝負第1局は6月4日(火)です。皆さんも楽しみましょう^^

以上、最後までお読みいただき有難うございました。


増補 頭脳勝負 将棋の世界 (ちくま文庫) [ 渡辺 明 ]

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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