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《竜王戦》木村九段 難敵を退け決勝T進出

5月30日(木)に第32期竜王戦1組 3位出場者決定戦 ▲木村一基九段vs△羽生善治九段の対局が行われました。

決勝トーナメント進出を賭けた一戦、戦型は木村九段の先手で横歩取りとなりました。
第1図は後手の羽生九段が△8四飛と引いたところ。

第1図以下の指し手
▲7五歩△6二銀▲7七桂△2三銀▲7六飛△9四歩▲8五歩△2四飛▲2八銀△8二歩▲6八銀△5五角▲5六歩△6四角▲5七銀(第2図)

先手は▲7五歩からひねり飛車模様の駒組みを目指します。
先手の方針としては、ゆっくりした展開に持ち込み陣形を固めるか左の銀を前線に繰り出し後手の大駒を責める形にできれば作戦勝ちが見込めます。
ひねり飛車慣れしていない方は7~8筋から急戦で攻めていくケースが多いのですが、本来は駒組みを進めて作戦勝ちを目指す戦法ですので戦い方には注意が必要です。
後手は先手の駒組みが進まない内に動いていきます。
△9四歩は△9三桂からの攻めを見た手なので、先手は▲8五歩として後手の狙いを封じます。
後手は途中の△5五角が良くなかったように思えます。
この戦型はいかに攻めの銀を前線に配置できるかが重要です。
後手としては△3四銀と駒を前に進める手が優れました。
本譜は逆に先手の駒が前に進み、後手が立ち遅れた格好になりました。

第2図以下の指し手
△3三桂▲7九角△5四歩▲8四歩△3六歩▲4八銀△2五飛(第3図)

▲7九角が味の良い角の活用。
遠く2四飛をにらみ、後手の動きを牽制しています。
後手が△5四歩と角の退路を作った手に対して、▲8四歩と後手にプレッシャーを与えます。
△3六歩と角の利きを活かした攻めを見せますが、▲4八銀が3七の地点を補強しつつ飛車取りになるぴったりの受け。
ここまで先手が自然な流れで手を進めているのに対し、後手はプレッシャーを受けて無理気味の仕掛けをさせられています。
形勢は先手有利です。

第3図以下の指し手
▲2四歩△1二銀▲5七角△4五桂▲6六角△3七歩成▲同桂△同桂成▲同銀左△3六歩▲同銀△2八角成▲2五銀△3八馬▲3五飛(第4図)

△2五飛と浮いた瞬間の▲2四歩が上手い1手。
後手は△1二銀とへき地に追いやられ苦しくなりました。
この銀が働く見込みはなくなりました。
銀を引かせた後、△7五飛の攻め筋を消すため▲5七角とします。
ゆっくりしていると先手に守りを固められるので△4五桂から攻め立てますが▲6六角と自然に対応され、後手はどんどん忙しくなっていきます。
攻めるしかない後手は猛攻を仕掛けますが▲3五飛がぴったりの返し技となりました。
後手は先手の一番固いところを攻めさせられているので、かなり非効率な攻めをしています。
また、後手陣は6筋の金銀が壁形になっているので少しでも強い戦いができるように△5三銀と悪形を解消しておけば本譜のように形勢が悪化することはありませんでした。

第4図以下の指し手
△4九銀▲5七玉△3三桂▲同角成△同金▲同飛成△5一金▲6五桂△5九角(第5図)

△4九銀からの攻防は共に最善の応酬でしたが最後の△5九角が悪手で形勢を大きく損ねました。
後手は△4四角として、先手玉が6六に逃げるルートを押さえつつ5三の地点を補強する攻防手を選択すべきでした。

第5図以下の指し手
▲4五桂△6一玉▲5三桂右成△同銀▲同桂成△4五桂▲4六玉△2六角成▲3八竜△同銀不成▲7二銀まで後手・木村九段の勝ち。

▲4五桂が確実な足し算の攻め。
後手玉は狭い形なので上から押さえられると、すぐに寄り形になります。
△2六角成の局面は後手玉に詰みがありましたが、▲3八竜でも先手の勝勢は変わらず大勢に影響はありません。

※詰み手順・・・▲7二銀△同玉▲6四桂△同歩▲4二竜△5二金打▲6三金△7一玉▲5一竜△同金▲7二金打まで。

本局はひねり飛車の理想的な戦い方で木村九段の完勝譜でした。
羽生九段としては陣形を整備した上で仕掛けを敢行したいところでしたが、木村九段の巧みな指し回しにより不利な戦いを強いられ本来の力を発揮することができませんでした。
木村九段の左銀を▲6八銀~▲5七銀~▲4八銀として3筋の守りを固め、▲8四歩としてプレッシャーをかけることで後手に無理攻めをさせる冷静な指し回しがとても勉強になりました。
木村九段の決勝トーナメント初戦は、名人失冠から再起を図る佐藤(天)九段との対決になります。
相手はトップクラスの強敵ですが、本局のような冷静沈着な木村将棋を期待したいと思います。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。


木村一基の初級者でもわかる受けの基本 (NHK将棋シリーズ) [ 木村一基 ]

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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