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《王位戦》羽生九段 永瀬叡王を下し挑戦者決定戦進出

6月4日(火)に第60期王位戦挑決リーグ白組 プレーオフ ▲羽生善治九段vs△永瀬拓矢叡王の対局が行われました。

挑戦者決定戦進出を賭けた一戦、戦型は羽生九段の先手で横歩取りとなりました。

後手が飛車を2筋に転回した第1図。
▲2七歩と受けておくのが無難な対応になりますが、羽生九段は強気な対応で迎え撃ちます。

第1図以下の指し手
▲6六銀△3四銀▲3七桂△2六歩▲4六角△2一飛▲2三歩(第2図)

▲6六銀~▲3七桂が突っ張った対応。
横歩取りにおける後手の指し方として、飛車を2筋に回る展開では先手に2七歩を打たせないと持ち歩の差で後手が作戦負けに陥る可能性が高くなります。
よって本譜のように先手が突っ張った対応を取った場合は、それを咎めるべく動く必要があります。
本譜は△2六歩としましたが、ここでは△3五歩と桂頭を攻める手も考えられました。
△3五歩 以降の展開としては▲4六角△2六歩▲3五歩△2三銀▲2五歩△同桂▲同桂△同飛といった進行が一例となります。
こちらの変化も十分考えられ互角の形勢です。
本譜の△2六歩に先手は▲4六角と要所に角を据えます。
▲4六角はこの形の急所の手になりますが、ゆっくりしていると打った角を攻められますので先手はこの間にポイントを稼がなければいけません。
そのポイントを取りに行った手が▲2三歩!
普通は▲2四歩とするところですが、積極的に良さを求めた意表の1手でした。
後手の応手としては歩を取る△同銀・△同金・△同飛、4六角を急所からずらす△4四歩といった手が考えられます。
歩を取る△同銀・△同金は▲2六飛とされた局面が、先手の飛車が動きやすくなり、逆に後手の飛車先が重くなるので、後手としては除外したい変化です。
△同飛は▲2四歩△2一飛▲2六飛△4四歩▲5六歩△2五歩▲2九飛という手順が想定されます。
形勢は互角で十分考えられる変化でした。
後手 永瀬叡王が選択した手は・・・

第2図以下の指し手
△4四歩▲5六歩△2三飛▲2四歩△2一飛▲2六飛△4五桂▲同桂△同歩▲5七角(第3図)

後手は△4四歩を選択しました。
この手は好位置にいる4六角をずらす目的です。
先手は角の退路を確保するため▲5六歩としますが、そこで△2三飛と歩を払いました。
単に△2三飛とせず、△4四歩▲5六歩の交換を入れた効果は後に表れます。
数手進み、桂交換が行われたところで先手は▲5七角と引きましたが、ここは▲5五角の方が角の働きが良く本譜より優れました。
▲5七角は後手の△1五角▲2九飛△2四飛の変化を防いだ意味合いがありますが、その手に対しては▲2七歩と辛抱して先手も十分戦えました。

第3図以下の指し手
△4六歩▲同角△8八歩▲同金△5四桂▲5五角△6六桂▲同角(第4図)

△4六歩と歩を突き捨てることが出来るのが、先程の分岐点で△4四歩としておいた効果。
後手は歩を駆使して先手陣を乱すことに成功しました。
先手陣を乱して銀桂交換を果たす事ができ、後手好調のようですが依然として形勢は互角です。
互いに我慢の展開が続きます。

第4図以下の指し手
△6五銀▲5五角△7六銀▲7八金△8八歩▲同角△4六歩▲同歩△5四角▲7九桂△2五銀▲2九飛△3六角▲4七銀△2七歩(第5図)

△6五銀からの後手の指し手は動き過ぎで形勢が先手に傾きました。
この局面は膠着状態に近い局面になっており、互いに力を溜めるような手の進め方が必要でした。
一例としては△1五角▲2九飛△2四飛▲2六歩△2一飛▲7八金△4五銀▲1六歩△3三角が考えられる進行です。
後手は本譜のように駒を手放して動いても大した戦果が上がらず、逆に動きにくくなりました。
△5四角のところは先手に分岐点が訪れました。
攻め合う展開に持ち込むのであれば▲6八金として△8七銀成▲4四角(もしくは▲5五角)として受けは最小限にして相手の攻めを捌く戦い方。
完全に守りに入るのであれば▲7九桂とがっちりガード。
羽生九段は受け重視の▲7九桂を選択されました。
△2五銀は一瞬ハッとする手で、▲同飛には△3六角の王手飛車取りがありますので先手は▲2九飛と逃げる1手。
後手は△3六角から必死に手を繋ぎますが△7六銀が思ったような働きを見せておらず、ここにきて戦力不足が顕著になってきました。
第5図以下の指し手
▲2七同金△同角成▲同飛△2四飛▲3五角△2六金▲同飛△同銀▲2四角△3七銀成▲3八金△4七成銀▲同玉△4九飛▲4八金△6九飛成(第6図)

▲2七同金では▲3七歩としておく方が固い受けでした。
先程の分岐点で完全に受けに回る▲7九桂を選択した以上、ここではその方針を一貫しないといけないのですが▲2七同金は少し受けが軽かったです。
完全に受けに回る場合はできるだけ持ち駒を盤上に投入しておくことで受けやすくなります。
先手は若干ポイントを失いましたが、これまで築いてきたリードが大きくまだ先手有利に変わりはありません。
途中、▲3八金に対して△4七成銀としたところでは△3八同成銀とする手も見えます。
以下▲同銀△2八飛が気になりますが、それには▲3四飛の返し技があり先手優勢です。
本譜は△4七成銀~△4九飛で怪しく迫ってきました。

第6図以下の指し手
▲1一角成△7八竜▲3五角△5二金打▲4一銀△6五銀▲7七桂△5四銀▲3二銀不成△3四歩▲4四角△3五銀▲6六角(第7図)

▲1一角成が入玉を意識した手でこれまでの受けの方針に一貫していて良い判断だったと思います。
▲1一角成のところでは▲5四桂から攻める手があったようですが、これまで受けの方針を貫いてきた中で急に攻めるというのは人間には困難で、逆転を誘発する可能性が高くなるので実戦的には本譜の手順が勝ちやすいように思えます。
▲3五角に△5二金打が辛い1手。
戦力不足の中、ここに駒を投入しなければいけないようでは勝負あり。
後手の戦力が不足していることと、▲3二銀不成と金を取れたことで先手は入玉が見えてきました。
本譜の手順が分かりやすい勝ち方です。
後手が駒を自陣に投入し戦力不足に陥っている時に先手が攻めてしまうと、相手に駒を渡すこととなり相手の戦力が回復することになります。
先手は本譜の進め方によって、余計な駒を渡さず後手を指し切りに追い込むことができました。
以下、先手の入玉が確定し後手投了となりました。

本局は互角の流れで中盤に差し掛かりましたが、羽生九段が細かくポイントを稼ぎ優位に立つことが出来ました。
終盤戦は受けの方針を取り続け、永瀬叡王に逆転を許しませんでした。
分の悪い相手に快勝し挑戦者決定戦に進めたことは非常に大きい勝利でした。
また、この勝利により羽生九段の通算勝利数が1434勝となり大山15世名人を抜き歴代最多となりました。
おめでとうございます。
王位戦挑戦者決定戦は6月6日(木)で相手は木村九段となりました。
先日、竜王戦で完敗した相手ということで厳しい戦いが予想されますが羽生九段の王位戦挑戦、そして通算獲得タイトル100期を期待したいと思います。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。


瞬間を生きる [ 羽生 善治 ]

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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