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《王位戦》木村九段 羽生九段を下し挑戦権獲得!

6月6日(木)に第60期王位戦 挑戦者決定戦 ▲羽生善治九段vs△木村一基九段の対局が行われました。

挑戦権を賭けた一戦、戦型は羽生九段の先手で横歩取りとなりました。
第1図は後手が△8四飛としたところ。
ここから横歩取り特有の激しい戦いに突入します。

第1図以下の指し手
▲9五角△7四飛▲同飛△同銀▲7二歩△7三歩▲8六角△6四歩▲同角△8九飛▲7九飛△同飛成▲同金△6六歩(第2図)

▲9五角が勇猛果敢な1手。
少し無理気味に思えましたが、飛車交換後の▲7二歩が鋭い手裏剣で後手が対応に苦慮しているように見受けられました。
次に▲7一歩成~▲5一飛を許すと後手敗勢になりますので、後手はこの筋を受けなければいけません。
安全策は本譜の△7三歩。
△7六歩の攻めを残す△4二角も考えられました。
ここは棋風の出るところで本譜の△7三歩は木村九段らしい手堅い選択でした。
▲8六角に対する△6四歩が手筋の1手。
▲同角と取らせた後、△8九飛▲7九飛△同飛成▲同金の交換を入れて先手の上部を弱体化させ、△6六歩とすることで先手陣の急所に手を付けることができました。
中住まいは飛車角を打ち込む隙が無い囲いですが、玉のこびんが急所となっています。
本譜は後手が△6四歩▲同角と歩を取らせたことで、先手玉のこびんを攻める△6六歩を実行することに成功しました。
▲同歩とすると△7六角と打たれますので先手は正確な受けが求められます。

第2図以下の指し手
▲5五角△7五銀▲6五飛△6七歩成▲同銀△7四歩▲8二角成△6六歩▲同銀(第3図)

▲5五角が柔軟な対応。
△6七歩成▲同銀△6六歩に対して▲同角と取る手を残しました。
後手は△6六歩を打てるようにするため△7五銀と進めます。
対して先手は▲6五飛!
なんとも形容し難い攻防の1手。まさに空中戦。
完全な力将棋となり、少しのミスで形勢が入れ替わる非常に難しい局面を迎えました。
ここから数手の応酬で形勢が大きく揺れ動きます。

第3図以下の指し手
△7六銀▲6七歩△9四角▲6一飛成△同玉▲7八金打△5二玉(第4図)

△7六銀が緩手で形勢は先手有利に傾きました。
ここはもっと踏み込む△7六角が優れました。
△7六角以下の進行としては▲6七歩△6五角▲同桂△7六飛▲7八角△6六銀▲同歩△7七銀▲6七銀(変化図)が想定されます。形勢はほぼ互角。

△7六銀が緩手となった理由として、第3図の局面で後手にとって重要な駒は6一金でした。
この駒が守備に非常に効いており後手としては、この駒を守らなければならなかったのです。
△7六銀としたことで▲6一飛成と金を取られ、後手は勝ちづらい形勢になりました。
第4図まで進んでみると7六銀と9四角の攻めが空振りしており有効な攻撃手段がなくなっています。
第4図の形勢は先手優勢となっていますが、今度は先手が躓き再逆転します。

第4図以下の指し手
▲8一馬△6一飛▲7一歩成△6六飛▲同歩△6七銀打▲4八玉△7七銀成▲8二飛(第5図)

▲8一馬が優勢から敗勢に転落した悪手。
△6一飛からの数手であっという間に先手玉が寄り形になりました。
第3図の局面で6一金が急所の駒であったのと同様に、第4図の局面では6六銀が急所の駒になっておりました。
この駒を取られると9四角のラインが先手玉を捉え、一気に先手玉が寄り形になります。
▲8一馬は△6一飛~△6六飛の攻めを手伝ったような形となり、先手にとっては悔やんでも悔やみきれない痛恨の1手になりました。
第4図、後手から有効な攻めはなかったので▲9一馬、もしくは▲5五馬として▲6六銀を守りながらゆっくりした攻めを目指せば優位を維持できていました。
第5図、最後のお願いで▲8二飛と王手を掛けました。
ここで後手に安全な勝ち方がありましたが・・・

第5図以下の指し手
△6二桂▲6九金△7八銀不成▲3九金△6九銀不成▲3八玉△6八飛▲2七玉△6六飛成▲1八玉△2六歩▲3八桂△6七角成(第6図)

△6二桂が疑問手。
一気に差が縮まり、再び混戦模様になりました。
△4一玉としておけば余裕を持って先手の攻めを余せました。
△6二桂は手堅いように見えますが、1手空くと▲6三歩とされる手が詰めろ級の厳しい手になります。
また、先手に駒を渡すと頓死する可能性もあります。
△4一玉であれば3二金・2二銀が守備に働き、余裕を持って守ることができていました。
△4一玉 以降の一例として、▲6三馬△3一玉▲5三馬△4二桂といった手順になりますが、後手は余裕を持って先手の攻めを余せます。
第6図、先手は最後のチャンスを迎えていました。
第6図以下の指し手
▲6一と△同玉▲2七歩△同歩成▲同銀△7三金▲7二歩△5二玉▲7一歩成△5七馬▲2八金△8三金打(第7図)

第6図では▲2六桂と歩を払っておけば、先手玉がかなり安全になっていました。
△同竜には▲6一と から攻め合いに持ち込み先手有利。
▲2六桂は6七馬の利きが無くなれば▲3四桂と跳ねることができるので、後手は竜も馬も動かしにくい状態になっています。
また、後手はそれ以上に歩切れが痛く、△2七歩・△2五歩などの小技を使えないので攻めに苦慮することになっていました。
▲6一と は疑問手で、歩切れで困っていた後手に貴重な1歩を渡しました。
微差ながら先手有利だった形勢が互角に戻りました。
先手は悪い流れを引きずり、何かに憑りつかれたように敗着が出ました。
▲7二歩が悪手。この手以降、先手の勝ちが無くなりました。
8二飛と8一馬の利きを自分から止める手となり、さらに△8三金と打たれ飛車を捕獲される最悪の結果になりました。
▲7二歩に代えて▲6三歩であれば際どい勝負が続いていました。
▲6三歩以降の一例として△同金▲同馬△同竜▲8一飛成△7一金▲6四歩で①△同竜には▲7二金△5二玉▲7一竜、②△8一金には▲6三歩成で先手に十分勝機がありました。
第7図以降、先手は攻め続けましたが木村九段の的確な受けの前に戦力不足の指し切りとなり投了に追い込まれました。

本局は力将棋となり、羽生九段の持ち味が存分に発揮され有利な局面を作れましたが、最終盤では羽生九段らしかぬミスが立て続けに起こり勝ちを逃す結果となりました。
個人的に羽生九段の挑戦を期待していただけに残念な結果となりました。
木村九段はここ最近安定した好成績を残されており、直近の対局において大きなミスがほとんど無い堅実な指し回しをされておられます。非常に安定感のある棋士です。
豊島王位も大きなミスが出ないタイプで木村九段と似た系統の棋士なので、タイトル戦がどのような内容になるのかとても興味があります。
ハイレベルなタイトル戦を期待したいと思います。

羽生九段のタイトル挑戦も祈念しております。
☆彡流れ星…! (-人-;) 「羽生先生がタイトル100期達成されますように」×3回

以上、最後までお読みいただき有難うございました。


木村一基の初級者でもわかる受けの基本 (NHK将棋シリーズ) [ 木村一基 ]

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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