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佐藤九段 A級順位戦開幕戦を勝利で飾り白星発進!

6月12日(水)に第78期A級順位戦 1回戦 ▲佐藤康光九段vs△久保利明九段の対局が行われました。

本局がA級順位戦の開幕局ということで注目の一戦となりました。
戦型は後手の久保九段が角交換振り飛車を採用され、力戦模様の戦いとなりました。

佐藤九段が穴熊を組み、対して久保九段が銀冠を完成させて迎えた第1図。
先手は駒が偏っているので角を打ち込まれないように隙を見せないようにしながら膠着状態を打開しなければなりません。
ここからの先手の指し回しが穴熊党には参考になる上手い手順でした。
第1図以下の指し手
▲4八飛△4一飛▲6八金寄 △9二香▲7八金寄△9一飛▲4四歩(第2図)

▲4八飛が▲4四歩からの攻めをみせながら5八金を守りに引っ付けやすくした1手。
単に▲6八金とすると△4六角▲4八角△4五桂といった攻めがあります。
後手は△9二香~△9一飛と穴熊の弱点である端に狙いを付けた地下鉄飛車にしましたが、4筋の守りが手薄になったので少し早すぎた感がありました。
先手は▲4四歩として攻撃の目途が立ったので穴熊が生きやすい展開に持っていくことができました。

第2図以下の指し手
△同歩▲同飛△5三銀▲4六飛△2八角▲2六角△1九角成▲5三角成△同金▲4二飛成△6四金▲4四歩△9五歩(第3図)

4筋の歩交換をした後、△5三銀に対して▲4六飛とした手が緩手でした。
△2八角とされ身動きが取りづらくなりました。
後手の狙いは端攻めですが、先手の右辺に落ちている桂馬と香車を入手することで端攻めの威力を上げることができます。
△2八角は4六飛を動かしにくくすることと桂・香の入手が見込める1手となり、先手は対処が難しくなりました。
戻って▲4六飛では▲3四飛としておく方が穴熊らしい展開に持ち込めました。
後手は放っておくと▲2四歩△同歩▲同飛で2筋突破されるので動かなければいけませんが、△4三金といった手には▲4五桂!の返し技があります。
△3四金は▲5三桂成で桂馬が捌けた上に次の▲5二角が厳しいので後手は持ちません。
△4五同桂には▲3二飛成△4二金▲3四竜で桂馬は損しますが飛車が捌けているので先手十分でした。
本譜は△2八角に▲2六角として▲5三角成から4筋突破しましたが、 苦しい攻めをしている感は否めません。
後手は守りに引っ付ききれなかった5三銀・4二金が上手く捌けた格好になりました。
△6四金と受け流してから待望の端攻めで形勢は後手有利に傾きました。

第3図以下の指し手
▲同歩△9三香打▲4三歩成△9五香▲9七歩△8五桂▲8六銀△9七桂成▲同銀上△同香成▲同銀△3七馬▲7七桂打△9七香成▲同香△9六歩▲同香△9八歩▲8八玉△9六飛▲9七歩(第4図)

後手からの強烈な端攻めを先手が何とか守ります。
途中、△9三香打や△3七馬として△8五桂を狙った手が穴熊崩しの参考になる攻め方。
第3図から第4図までほぼ一本道で、あれだけ固かった穴熊があっという間に崩されました。
迎えた第4図、後手に△9七飛成!という強烈な決め手がありました。
▲同玉は△9二香とされ歩切れの先手に有効な受けがないため▲同桂とする1手ですが、△9二香とされ以下▲8九金△9六銀とされ先手は後手の攻めを振りほどくことができませんでした。
本譜はこの決め手を逃し、怪しい展開に突入します。

第4図以下の指し手
△7六飛▲9五香△8六桂▲同歩△5九馬▲9八玉△8六飛▲7二竜△同玉▲8八香△7六角▲8七金打△4八飛▲7六金△同飛▲7三歩△6一玉(第5図)

△7六飛~△8六桂が連続疑問手で形勢が逆転しました。
8七に空間を作る目的でしたが△5九馬の時に▲8七香と穴熊戦特有の駒を埋め直す指し方で後手に有効な攻めがありませんでした。
しかし、時間に追われた先手は△5九馬に対して▲9八玉と対応を誤ります。
△8六飛とされ次の△7六角が強烈な1手になりました。
こう進むと先ほどの△8六桂とした手の顔が立つ形になり、先手は悪手になるハズの△8六桂を好手に変えてしまう結果になりました。
先手は普通に▲8七歩や▲8八香と受けると△7六角とされ次に△9六歩からの玉頭攻めが残るため、非常手段として▲7二竜と金を入手し▲8七金打と大駒に当てる受け方を選択しました。
ここで今度は後手が対応を誤ります。
△9六歩と先手の急所に手を付ければ後手は十分に戦えましたが、本譜は△4八飛とした手が甘く急所を外しました。
本局は終始、先手の玉頭が急所になっており、後手としては常に玉頭から攻めを敢行しなければなりませんでした。
△9六歩以降の想定される変化としては▲7六金△同飛▲8七金△9七歩成▲同桂△9六歩▲7六金△9七歩成▲同玉△9九飛(変化図)

後手が簡単に良くなる訳ではありませんが、勝負をかけるにはここしかなかったように思えます。
本譜はこの後、▲7三歩と王手された手に対して△6一玉とした手が事実上の敗着でこれ以降は後手にチャンスが巡ってくることはありませんでした。
△6一玉に代えて△同玉であれば難解な局面が続いていましたが▲6五桂打と王手されると、駒を渡すと7三に打ち込まれて頓死する状態ができますので実戦的に後手がこの選択をすることは困難であったと思います。
第5図以下の指し手
▲2六角△4三飛成▲5九角△8六香▲2六角△8八香成▲同金上△8六香▲6八桂△8八香成▲同金△8六飛▲8七香△7九銀▲8六香△4九竜(第6図)

▲2六角が決め手で後手は指しようがなくなりました。
次に▲5三とで寄り形になるため、後手は△4三飛成と馬を犠牲にして と金を払いますが、やはり馬をボロッと取られた手は痛く、先手に迫る有効な手段がなくなりました。
後手は飛車を捨てて先手陣を肉薄しますが、わずかに足りず第6図から先手が勝負を決めます。
第6図以下の指し手
▲8一飛△5二玉▲6一角△4二玉▲4四香まで 先手・佐藤九段の勝ち

▲8一飛とされ2六角の利きがあるため後手は△5二玉と逃げる1手。
▲6一角に△4一玉と逃げるのは▲4三角成△5一銀▲同竜△同玉▲5二銀で詰み。
投了図以降△3一玉は▲4三角成とされ、①△4一歩は▲同竜△同玉▲4二馬で詰み、②△2二玉は▲2一飛成でいずれも簡単な詰みとなります。
△4四同竜とすれば詰みはありませんが、先手玉に詰みはなく、また後手は受け無しの必死ですので投了はやむを得ません。

本局は先手の駒組みが上手く、穴熊の堅陣から先攻する理想的な展開に持ち込むことができました。
しかし、振り飛車の反撃も強烈でした。
久保八段の右辺を軽く受け流してからの端攻めが凄まじく穴熊をあと一歩のところまで追い詰めましたが立て続けに疑問手を重ね、残念な逆転負けとなりました。
途中の受け流し方や端攻めの仕方は振り飛車党の方に大変参考になる手順ですので、穴熊に手を焼いている方は是非棋譜並べをして参考にしていただければと思います。
A級順位戦の開幕局にふさわしい熱戦でしたね。
ここから名人挑戦を賭けた熱戦が繰り広げられますので楽しく観戦したいと思います。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。


天衣無縫 佐藤康光勝局集 [ 佐藤康光 ]
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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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