投稿タイトル上

《C1順位戦》藤井七段 圧巻の終盤力で白星スタート

6月18日(火)に第78期順位戦C級1組1回戦 ▲村田顕弘六段vs△藤井聡太七段の対局が行われました。

前期、9勝1敗の好成績を上げながら頭ハネで惜しくも昇級を逃した藤井七段。
今期に賭ける懸ける思いは相当なものであると推察されます。
対する村田六段、ここ最近は成績が振るわず連敗が重なったこともあり本調子には程遠い状態なので、藤井七段に勝つことで何とか調子を取り戻したいところ。
そんな二人の一戦は、 村田六段の先手で戦型はひねり飛車となりました。

先手はじっくり攻撃態勢を整えても問題なさそうでしたが、△8四飛の位置を咎めるべく積極的に仕掛けていきます。

第1図以下の指し手
▲8六歩△同歩▲8五歩△5四飛▲6八銀△8七歩成▲同金△2五歩▲8六飛△3五歩▲8四歩△8二歩▲5六歩△2六歩▲5七銀△6四飛▲5八金(第2図)

ひねり飛車の戦い方は駒組み勝ちを目指すことが基本的な考えなので、無難な対応としては▲7六飛~▲5六歩~▲5七銀といった駒組みが考えられるところでした。
本譜▲8六歩は積極的な動き方で、8筋を押し込むことでさらに指しやすさを求めた手でしたが、結論から申し上げますと後手の対応が上手く形勢を損ねました。
△8七歩成▲同金として左の金を中途半端な位置にさせ、△2五歩~△3五歩~△2六歩が上手い手順で、後手は先攻できる態勢を作り上げました。
△6四飛も細かい動きで、先手は▲6六歩とすると飛車と角の利きが二重に止まりますので、大駒の働きが大きく落ち込みます。
▲5八金は辛い1手。
これでは駒組み勝ちが見込めず、逆に後手が1本取った形になりました。
後手の駒が前に進んでいるのに対し、先手は立ち遅れていますので第2図の形勢は後手有利です。

第2図以下の指し手
△1五歩▲同歩△同香▲1七歩△2四飛▲2八歩△7七角成▲同角△2七桂▲4八玉△1九桂成(第3図)

△7七角成~△2七桂は普通は無理攻めですが、この形では先手に反撃手段がないため十分成立しています。
△1五歩~△同香で事前に角の利きから香車が逃げているのが大きいですね。
先手は▲5八金と辛抱してもこの強襲が成立するのであれば▲8六歩の動きが宜しくなかったということになります。

第3図以下の指し手
▲4六銀△3三香▲5五歩△2七歩成▲同歩△2九成桂▲同銀△2七飛成▲3八銀△2八竜▲5四歩△同歩▲2二歩△同金▲4五桂(第4図)

先手は悪いなりにも最善の手順で後手に迫ります。
ゆっくりしていると△1八成桂~△2八成桂から着実な攻めがありますので先手は攻めなければなりません。
▲5五歩~▲5四歩はこの形の急所で覚えておきたい攻め方。
▲2二歩も手筋で後手は対応が悩ましいところ。放っておくと桂馬を取られますので△同金としますが壁形になりますので後手としては嫌な形にさせられました。
先手は▲4五桂としてさらにプレッシャーをかけます。
形勢は依然として後手有利ですが、対応を誤れば逆転します。

第4図以下の指し手
△2六桂▲3五銀△3八桂成▲5七玉△6四銀▲6六飛△3二玉▲6四飛△同歩▲5三桂成△3七成桂▲5九歩(第5図)

▲5三角が見えていますが、受けずに△2六桂が好判断。
これ以上受けると先手の攻めが加速する可能性があるので、ここで攻めに切り替えるのが分かりやすい指し方でした。
先手も▲3五銀が妖しい手で▲2六飛を見せて後手にプレッシャーをかけ続けます。
参考になる上手い粘り方です。
第5図の局面、後手陣がかなり肉薄され一歩間違えると負けになる局面になりました。
しかし、後手は棋界隋一の終盤力を持つ棋士。
おそらく数手前からこの局面は勝ちになることが見えていたと推察されます。
ここからの決め方が圧巻でした。

第5図以下の指し手
△3五香▲4一銀△同玉▲2二角成△5二金▲3一角△4七成桂(第6図)

△3五香が決め手。
角筋が通るのでかなり怖い手ですが、これで後手勝ちになっています。
▲4一銀から後手に必死がかかりますが△4七成桂とした局面、先手はどの手順を選択しても詰み・もしくは必死が解除され後手勝ちになります。
△4七成桂に対して▲同玉は△3七竜▲5六玉△4六飛で詰み。
▲6六玉は△2六竜▲7七玉△7六銀で①▲同金は△7八飛▲同玉△7六竜▲7七金△8七銀▲6八玉△7八金▲同金△同竜まで。
②▲8八玉・▲7八玉は△8七銀成▲同玉△8六飛▲7八玉△8九銀▲6九玉△7八金まで。
③▲6八玉は△5八成桂▲同歩△5九銀▲同玉△2九竜▲4九桂△同竜▲同玉△6九飛▲4八玉△3七金▲5七玉△6七飛成▲4六玉△4七竜▲3五玉△3六竜まで。
いずれの変化も調手数ですが詰みとなります。
第6図、唯一詰まない変化は▲6八玉ですが・・・

第6図以下の指し手
▲6八玉△5八成桂▲同歩△5七銀▲7七玉△7九飛▲7八桂△同飛成▲同玉△5八竜▲7七玉△6五桂▲8六玉△9五銀▲同玉△9四歩▲8六玉△9五金▲7六玉△7八竜(第7図)

△5七銀に▲同玉は△4七飛▲6六玉(▲同玉は△3七竜▲5六玉△6五金まで)△5六金▲7七玉△6七飛成▲8六玉△8五銀▲9五玉△9四歩▲8五玉△8七竜▲8六銀△9五金で詰み。
よって△5七銀に対して先手は▲7七玉と逃げますが、△7九飛からの連続王手で第7図まで一本道で進みます。
先手玉は詰まず、後手は必死になっているので一見先手が勝ちのようですが・・・

第6図以下の指し手
▲7七飛△同桂成▲同馬△2六飛▲6六桂△7七竜▲同玉△3一玉まで後手・藤井七段の勝ち

△7八竜の王手で後手が勝ちになっています。
△7八竜の王手に対して金・銀で合駒するのは△同桂成▲同馬に△8五金(もしくは8五銀)で詰み。
△7八竜に▲7七馬も△同桂成▲同金△8五角まで。
よって先手は▲7七飛とするよりありませんが△同桂成とされた時に▲同金は△8六飛で詰みとなりますので▲同馬と取るよりありません。
しかし、馬が2二から離れたことにより3一角が浮き駒になったため必死が解除されました。
△2六飛として▲6六桂と桂馬を使わせてから△7七竜~△3一玉が激辛流の指し回し。
投了図は後手に詰みはなく、先手玉は詰めろとなっており受けても1手1手のため投了はやむをえません。
先手玉の詰み手順は下記の通りです。
△5九角▲8八玉△2八飛成で①▲7八銀には△7九角で(1)▲同玉は△6八角成▲8八玉△7八馬以下詰み、(2)▲8九玉は△7八竜▲同玉△6八角左成▲8九玉△7八銀▲9八玉△8七銀成▲同玉△7七金▲9八玉△8八角成で詰み。
△2八飛成に②▲7八金△同竜▲同玉△6八角成▲8八玉△7八金▲9八玉△8九角で詰みとなります。

本局は藤井七段が村田六段の無理気味の動きを的確に咎め、終始優勢を維持したまま押し切りました。
途中、村田六段の粘り方が上手く逆転しそうな雰囲気も出ていましたが、終わってみれば藤井七段が相手の狙いを全て読み切り封殺した一局でした。

いや~・・・強い!強過ぎますね。
当たり前のことを書くのですが、将棋が頭一つ抜けているのが分かる内容で強過ぎるのが分かります。
本局の必死を解除する手順は、途中からは1本道に近い手順で逆算すると84手目△3五香の段階では確実に見えていたことになります。
△3五香の時に思い付いたということは考えづらく、さらにその前の段階で見えていた可能性があると推察されます。
数手前の△6四銀▲6六飛△3二玉の辺りは攻めるか受けるかの岐路に立っており、また互いに時間をかなり消費されているので、その段階で勝ち筋を発見されていたように思えます。
あの局面から終局までの手順を読み切るというのは並大抵のことではありません。凄すぎです。
早く大舞台で活躍する姿を見たいですね^^
村田六段も関西若手四天王と呼ばれるほど強さには定評があり、穏やかな人柄で人気のある棋士ですので早く不調を脱して大舞台で活躍していただきたいです。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。


藤井聡太の鬼手 〜デビューから平成30年度まで〜 [ 書籍編集部 ]

The following two tabs change content below.
habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

下をクリックして応援いただけると幸いです。宜しくお願い致します。。

本文2
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク