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《順位戦》糸谷八段 果敢な攻めで三浦九段撃破

6月19日(水)に第78期A級順位戦 1回戦 ▲糸谷哲郎八段vs△三浦弘行九段の対局が行われました。

居飛車であればどのような戦型も指しこなす両者。
注目の戦型は最近では珍しい相雁木となりました。
途中、両者共に戦機が掴めず千日手の心配がありましたが、手待ちを重ねて迎えた第1図 先手が打開に踏み切ります。

第1図からの指し手
▲4五歩△6五歩▲5六銀右△6一飛▲6五歩△同桂▲6六角△7五歩▲4四歩△同銀右▲2四歩△同角▲6二歩(第2図)

先手は▲4五歩として膠着状態を打開します。
仕掛けるのであればココしかありませんね。
後手も△6五歩からカウンターを仕掛けます。
互いに雁木囲いですが右銀の位置が微妙に異なります。
この違いがどちらに有利に働くかが注目です。
互いに4筋・6筋から動きを見せ始めた瞬間に先手が▲6二歩と手裏剣を飛ばします。
絶妙なタイミングの叩きで後手は難しい対応を迫られました。

第2図以下の指し手
△同飛▲4五歩△5五銀▲同銀△同歩▲5一銀△5二飛▲4二銀成△同角(第3図)

▲6二歩に対して△同飛としましたが、ここでは△7一飛とする手もありました。
▲6五銀と桂馬を取られる手が気になりますが、△5五銀と中央を制圧する手があり互角の形勢です。
後手は△4一歩と底歩を打てますので飛車を渡しても強い戦いができるのが強みです。
しかしボロッと桂馬を取られる展開は実戦的に指しづらいので、本譜△同飛からの展開は自然な応手に見えます。
こちらの変化も形勢は互角ですが、先手の攻めが続きますので後手はしばらく辛抱が必要な展開になりました。
こういった展開になると5六銀型の先手の方が攻めのバリエーションが多いので、先手が指しやすそうな印象があります。
先手が▲4五歩とした手に対し、後手は△5五銀とぶつけましたが、これが疑問手となり後手は形勢を損ねました。
ここでは△5三銀と引く手がありました。
先手は▲1一角成とすると△5七桂成がありますので、簡単に攻め込むことができませんでした。
本譜の銀交換の手順は▲6二歩と叩いた効果で▲5一銀の割打ちが厳しく先手有利になりました。
迎えた第3図、糸谷八段の指した手が常識に捉われない手で驚きました。

第3図以下の指し手
▲7七桂△同桂成▲同角△7六歩▲同銀△6四桂▲4四歩△同銀▲4三歩△2四角▲6三金△5四飛▲6六桂(第4図)

第3図、無難に指すのであれば▲3五歩や▲1五歩といった手になりますが、糸谷八段が選択された手は守りの桂と攻めの桂を交換しにいく▲7七桂!
個人的にびっくり仰天の1手でした。
△同桂成から後手の攻めが加速しているように見えたので怪しくなってきたのではないかと感じました。
しかし局面が進んでみると交換した桂馬での攻めが厳しく、形勢は先手優勢になっています。
心理的に指しにくい手順と思いましたが、糸谷八段の大局観と踏み込みの良さが光ったシーンでした。

第4図以下の指し手
△7六桂▲5四桂△6八桂成▲同金△4三金▲5二金△2二玉▲2四飛△同歩▲4二桂成△4九飛▲6九桂△3三銀(第5図)

後手は飛車を逃げると6四の桂馬を取られますので△7六桂として2枚替えに踏み切ります。
しかし▲5四桂と飛車を取られた手がやはり厳しい手でした。
次に▲4二歩成とされると後手敗勢になるので△4三金と手を戻しましたが、1手を争う局面で手を戻さなければいけないのは辛すぎます。
手番を得た先手はさらに攻勢を強めます。
▲2四飛と飛車を切った手が勝ちへの最短ルート。
第5図からの手順が後手に粘りを許さない見事な寄せでした。

第5図以下の指し手
▲3一角△1二玉▲4五飛△4二金▲4九飛△3二金▲7五角成△6七歩▲同金△4三歩▲4五桂△5八銀▲3三桂成△同金▲3一馬△2二銀▲同馬△同玉▲3一銀△同玉▲2三歩まで先手・糸谷八段の勝ち

▲3一角~▲4五飛が決め手で先手勝勢となりました。
大駒がよく効いている上に右桂までも活用されては、さすがの三浦九段といえど粘りようがありません。
投了図、▲4二銀△3二玉▲2二飛の詰めろとなっていますが、後手は駒を使って受けるスペースがなく、また△2三同金としても▲4三飛成があるので投了はやむを得ません。

本局は糸谷八段の力が遺憾なく発揮された一局でした。
攻撃のバリエーションが多彩で粘り強い三浦九段でも受け止めることができませんでした。
指しづらそうな▲7七桂も躊躇なく指されていたので、この日の糸谷八段は状態が非常に良く終始キレキレでした。
A級順位戦は始まったばかりですが、今期も糸谷八段が挑戦レースをかき回す存在になりそうですね。
今後の活躍に期待したいと思います。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。


棋士と哲学者 僕らの哲学的対話/戸谷洋志/糸谷哲郎
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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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