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佐藤九段 深浦九段に執念の逆転勝ちで1回戦突破

6月21日(金)に第67期王座戦挑決トーナメント 1回戦 ▲深浦康市九段vs△佐藤天彦九段の対局が行われました。

タイトル経験者で実力者の二人が1回戦でさっそく顔を合わせることになりました。
今年度3戦全勝と調子を上げてきている深浦九段と名人戦ストレート負けで調子を落としている佐藤九段、対象的な二人の対局は形勢が大きく入れ替わる壮絶な一戦となりました。
戦型は深浦九段の先手で角換わり腰掛銀となりました。
後手の佐藤九段は流行の先後同型ではなく先手に9筋の位を取らせて、後手が先行する形を採用されました。

第1図以下の指し手
△6五歩▲6九飛△6六歩▲同飛△6五歩▲6九飛△6四角▲4七金△2二玉▲8八玉△4二銀▲1八香△4三銀上▲1五歩△同歩▲1九飛△5五銀(第2図)

△6五歩に対する▲6九飛はこの戦型における常套手段の受け。
後手は6筋の位を押さえ△6四角と要所に据えます。
△4二銀は▲2五桂と跳ねられる手をあらかじめ避けた守りの手ですが、端が薄くなるデメリットがあります。
先手は△4二銀を見て、▲1八香~▲1九飛として端に狙いを付けました。
形勢は互角ですが、所感として後手の指し手に乗る形で手を進めている先手の方が指しやすいように見えます。
後手はゆっくりしていると端から手を作られますので△5五銀と攻め合いに持ち込みます。
ここからの先手の手順が上手かったです。

第2図以下の指し手
▲2五桂△4六銀▲2八角△8六歩▲同銀△2四歩▲4六金△2五歩▲5五金(第3図)

▲2五桂に△5六銀とするのは▲同金とされ次に▲5五銀の角取りが残りますので、後手は△4六銀として△4七銀不成▲同銀△1九角成を狙います。
角が遠く1九飛を睨んでいるので受けにくそうですが▲2八角が好手。
後手は6四角が浮いているため4六銀を動かすことができません。
先手の見事なカウンターが決まり、後手の動きを的確に咎めることに成功しました。
後手は4六銀を取られる間に△2四歩から桂馬を取りにいきますが弱点である玉頭を開けているので非常に苦しい動き方をしています。
第3図の局面、先手の攻め駒が捌けているのに対し、後手は攻め駒が残ったままなので形勢は先手有利になっています。

第3図以下の指し手
△8六角▲同歩△6六桂▲6八金△8五歩▲同歩△2六歩▲8七銀△2七歩成▲4六角△3七銀▲同角△同と▲4五歩(第4図)

後手は角の逃げ場がないので切るしかありません。
△5五同角か△8六角とするしかありませんが、この場面では守りを少しでも削る△8六角が優れています。
後手は苦しい形勢ですが逆転するには8一飛の活用が必須なので玉頭からあやをつけに行きます。
対する先手の▲8七銀が参考にしていただきたい一手。
高段者の対局では必ず出てくる戦いの中で守りを固める手で、この類の手を指せるようになると非常に負けにくいプレイヤーになれます。
▲8七銀で堅牢さを増した先手は強い戦いができるようになったので▲4五歩から攻めに転じます。

第4図以下の指し手
△3六と▲1二歩△同香▲4四歩△5四銀▲2四銀△4六角▲5四金△2四角▲4三歩成△5四歩▲4四角△3三金(第5図)

△3六と はいかにも苦しそうな1手。
終盤戦に差し掛かった局面で敵玉から離れた場所に手をやることは気が引けますが、先手玉が固いので攻め合うことはできません。
後手としては上部開拓から入玉を意識させることで先手にプレッシャーを与え、攻め間違いを誘発するしかありません。
第4図から第5図にかけて、後手はプレッシャーをかけるために先手の攻め駒に駒をぶつけ続けています。
先手は正着を指し続けているのですが、見えないプレッシャーからか少しずつ乱れていきます。

第5図以下の指し手
▲2三歩△同玉▲2五歩△4四金▲2四歩△同玉▲4四と△6四角▲4三角△2五銀▲2九飛△2八歩▲4五銀△3三金▲5四角成△8六歩(第6図)

▲2三歩~▲2五歩が危うい攻め方でした。
玉が上部に上がってくると数手前に指した△3六と が光ってきます。
先手は有利な局面でしたので難しくする必要はなく、単に▲3三同と で以下△同角▲6二角成△5八桂成▲4四金といった指し方で問題ありませんでした。
形勢が有利な方は分かりやすい手で局面を簡素化することで勝ちやすくなり、逆に不利な方は局面を複雑化させることで相手にミスを誘発させる可能性が高くなり逆転しやすい状況に持ち込めます。
第6図の局面、いろいろな場所で駒が取れる状況になっています。
それだけ選択肢が増えているということで、先手はこの中から正着を選択しなければいけない状況に陥っています。
ここでは局面が相当複雑になっており、どちらが勝つか分からない状況です。
優勢な局面から優劣不明になったということで心理面での落ち込みが大きく、先手がここから持ち直すのは非常に難しくなっています。

第6図以下の指し手
▲同銀△同角▲3六銀△同銀▲同馬△2九歩成▲2五歩△1三玉▲1五香△2二玉▲3三と△同玉▲2四銀△3二玉▲7七銀△8七歩(第7図)

第6図からは指運に近い局面になってきました。
先手はどこかで▲3三と△同桂▲4四金といった手で後手玉を包囲したいのですが、常に△7九銀▲同玉△4九飛と抜く筋があるので攻め方が非常に難しくなっています。
時間が切迫し有効な攻めが見えなくなった先手は▲7七銀と手を戻しましたが、ここでは形勢が逆転し後手が勝勢になっています。
△8七歩が決め手。
第7図から後手が素早い寄せで逆転勝ちを収めます。

第7図以下の指し手
▲同玉△8五飛▲3三歩△4一玉▲6九馬△7九銀まで後手・佐藤九段の勝ち

△8五飛に▲8六銀と角を取るのは△同飛▲同玉△8五歩▲7七玉△8六銀▲8八玉△8七銀打▲7九玉▲7八銀打からの詰みとなります。
投了図以下、①▲同馬は△7七角成▲同玉△8七飛打で詰み。
②▲8六銀は△8八飛▲7七玉△6八飛成▲同馬△同銀不成▲同玉△5八金で(1)▲6七玉は△7八角▲7七玉△6八銀▲8八玉△8六飛からの詰み。
(2)▲7七玉は△6八角▲8八玉△8七銀▲同玉△8六角成▲8八玉△8七馬▲7九玉△7八銀で詰みとなります。
投了図、先手に受けはなく、また後手玉に詰みはありませんので先手はここで投了となりました。

本局は終盤の入口まで先手の深浦九段が完璧に進めており快勝譜となるところでしたが、劣勢になってからの佐藤九段の攻め駒に駒をぶつけ続ける指し回しが凄かったです。
この対局に賭ける佐藤九段の執念が盤上に出ていたような感じがしました。
名人失冠以降、本調子には程遠い佐藤九段ですが一刻も早い復調を期待したいです。
近年の名人戦で見せて圧倒的なパフォーマンスが発揮されればタイトルホルダーをなぎ倒す力は十分ありますので大舞台に戻ってくる日を楽しみに待ちたいと思います。
本局の結果、王座戦の2回戦進出者がすべて出揃いました。
来週から2回戦が行われます。
6月24日(月)に羽生九段vs佐々木五段の対局があり、そして翌25日(火)は豊島三冠vs渡辺二冠の対局が組まれています。
来週は他にも竜王戦・順位戦・棋聖戦第3局など好カード目白押しとなっていて寝不足の日が続きそうです(;´Д`)
月末で仕事が忙しく体調を崩さないか心配ですが、何とか観戦したいと思います。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。


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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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