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稲葉八段 ライバル対決を制し連勝スタート

7月4日(木)に第78期A級順位戦 2回戦 ▲稲葉陽八段vs△糸谷哲郎八段の対局が行われました。

共に1回戦を勝利し迎えた2回戦。
ライバル対決となった本局は互いの意地がぶつかる大激戦となりました。


戦型は稲葉八段の先手で早繰り銀、対する糸谷八段は得意の右玉で迎え撃ちます。
第1図、ここから互いに一歩も引かない殴り合いが始まります。

第1図以下の指し手
▲7五歩△同歩▲9五歩△3四歩▲4六銀△9五歩▲5六角△8三角▲同角成△同飛▲5六角△7四角▲6七角△9六歩(第2図)

▲7五歩は右玉崩しで頻出する攻め筋。
△3四歩に▲2四歩は△3五歩▲2三歩成△2七歩▲同飛△4五角のカウンターが決まり後手有利。
第1図では歩の枚数が足りないため、この反撃はなかったのですが、▲7五歩△同歩で後手に一歩を渡したため△2七歩の反撃手段ができました。
上記の反撃があるため先手は▲4六銀と引きましたが、そこで後手も△9五歩と手を戻します。
▲5六角に普通は△6五歩と受けそうなところですが△8三角が面白い受け方。
△6五歩と△8三角、どちらの変化も互角ですが△8三角は相手の意表を突き心理面での揺さぶりをかける意図があったように思えます。
考慮時間の短さから研究範囲であったと推察されますが、糸谷八段らしい変化球でした。

第2図以下の指し手
▲7六歩△8一飛▲7五歩△8三角▲8六歩△9七歩成▲同香△同香成▲同桂△9一飛▲9六歩△同飛▲8七金△9一飛▲9六歩△5一玉(第3図)

▲7六歩が厳しい反撃。
右玉の弱点である7筋からの攻めなので後手は△8一飛~△8三角と辛抱します。
その後9筋で香車交換が行われ、△9一飛とした手では△9六歩とする手も見えますが、この手には▲9四歩とする反撃があります。
角の横にと金を作られる訳にはいかないので△9一飛と守るくらいですが▲9五香とされ後手がつぶれ形になります。
端から同じように攻め合うと7筋に金銀がある分、先手に分がある展開となります。
第3図、△5一玉とした手が右玉らしい変幻自在な玉捌き。
右玉は受け流す技術が必須で、このような玉捌きは覚えておきたい感覚ですね。

第3図以降、難解なねじり合いが続き、40手ほど進み迎えた第4図。

互角の形勢でしたが、ここで糸谷八段の指し手が乱れました。

第4図以下の指し手
△8五桂▲8六銀△6五歩▲3三歩成△同桂▲2三角成△2五桂▲同飛△3五歩▲4二成香△同金▲8二銀(第5図)

△8五桂が疑問手で互角に推移していた形勢が一気に開きました。
先手の守り駒を攻める自然な手に見えますが、この手により先手の守り駒であった銀が攻撃に加わることになりました。
数手後にこの銀が攻めで活躍します。
第4図では△4六歩~△5五桂といった手で攻めておけば互角の形勢が続いていました。
本譜はここからの先手の攻めが強烈で、難解な局面から抜け出すことに成功しました。

第5図以下の指し手
△9二飛▲7三銀成△同玉▲9五桂△9四角▲7五銀△7四香▲同銀△同銀▲7五歩△同銀▲7四歩△6二玉▲8三桂成△同角▲7三金(第6図)

第5図からあっという間に後手陣が崩壊しました。
途中の▲7五銀~▲7五歩~▲7四歩が強烈な玉頭攻め。
第4図で△8五桂▲8六銀の交換を入れてしまったために後手は強烈な攻めを食らうことになりました。
第6図、王手角取りが決まり大勢が決しました。

第6図以下の指し手
△5一玉▲8三金△7六桂▲同金△同銀▲9二金△7七桂成▲5九玉△3六歩▲7三角△6二桂▲6三桂△5二玉▲3四馬まで先手・稲葉八段の勝ち

投了図以下、①△4一玉は▲2一飛成△3一銀▲5一飛で詰み、②△4三銀は▲4四桂△6三玉▲6四飛△7二玉▲8二金△6一玉▲6二飛成までいずれも即詰みとなります。

本局は互いに一歩も譲らない激戦で非常に難解な中盤戦でした。
難しい局面の中で稲葉八段の指し回しが素晴らしく、まったくミスが出ませんでした。
稲葉八段はこれで広瀬竜王・糸谷八段と強敵を撃破しての2連勝ということで、順位下位ながら名人挑戦者に名乗りを上げました。
最近不調でしたが、これをきっかけに改めて名人挑戦を期待したいですね。
糸谷八段も右玉の大家として、変幻自在な指し回しが光りました。
右玉は実際に指してみると分かりますが、非常に難しいバランス感覚が必要になる戦法です。
本局のような難解なねじり合いを大きなミスなく戦うことは素晴らしいの一言です。
関西のライバル同士、しのぎを削ってタイトル戦線を盛り上げていただきたいです。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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