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《王位戦》豊島王位 完全無欠の指し回しで先勝

7月3日~4日に第60期王位戦七番勝負 第1局 ▲豊島将之王位vs△木村一基九段の対局が行われました。

挑戦者決定リーグで菅井七段・稲葉八段・羽生九段といった、そうそうたる面々を打ち破り挑戦権を勝ち取った木村九段。
勢いに乗る挑戦者を迎え撃つのは現在、渡辺二冠と共に棋界最高峰に君臨する豊島三冠。
隙の無い豊島三冠に対して木村九段がどのように挑むのかが注目のシリーズになりました。
振駒の結果、豊島王位が先手となり、戦型は横歩取りとなりました。

第1図以下の指し手
△2五歩▲2八飛△7四歩▲3七桂△7三桂▲2九飛△2三銀(第2図)

△2五歩は打つならこのタイミングしかありません。
▲3七桂と跳ねられてから△2五歩は▲2九飛と形良く引かれます。
△7三桂に対する▲2九飛が個人的に驚きました。
持久戦調の将棋であれば1手の手損はあまり影響が出ませんが、急戦の将棋における1手の価値は非常に大きいので手損が大きく影響します。
この手をすぐに指せたということは事前研究の範囲内であったと推察されます。
本譜、後手は△2三銀としましたが、自然に見えたこの手が疑問手で形勢を損ねることになりました。
ここでは△2三銀に代えて△8六歩として先攻しなければいけませんでした。
結論から言うと後手はこの手以降、形勢が良くなることはありませんでした。

第2図以下の指し手
▲3三角成△同桂▲7七桂△5五飛▲6六角△5四飛▲2五桂△同桂▲同飛(第3図)

▲3三角成と動いた手が機敏で先手が一気にリードを奪いました。
▲2五桂に対して後手は△同桂と応じましたが、△4五桂の方が苦しいながらも紛れがあったように見えます。
変化の一例としては以下▲6八銀△2八歩▲同飛△6四角といった手順が予想されます。
正確に指されると先手が余せそうですが、後手の攻めが先手陣に肉薄しているので実戦的に先手が勝つのは一筋縄ではなかったように思えます。
本譜は先手陣に嫌味が付いていないので、ここからは先手に一方的に攻め続けられる展開になりました。

第3図以下の指し手
△2二歩▲4六桂△6四飛▲5五角△1四飛▲8五桂△6四歩▲7三桂成△同銀▲1六歩(第4図)

▲6六角が遠く1一の香車を狙っているので後手は△2二歩として防ぎましたが▲4六桂が厳しい攻めの継続手。
後手の飛車の稼働範囲が一気に狭まりました。
▲8五桂が気持ちの良い跳躍。
△同桂には▲9一角成とした手が味の良い1手になります。
2五飛が8五桂を狙っていますが、後手には有効な防ぎ方がありません。
本譜は△6四歩として辛抱しましたが、▲7三桂成から▲1六歩でまた飛車を狙われることになりました。
飛車交換になると隙の多い後手が不利になります。

第4図以下の指し手
△3三桂▲2七飛△5二玉▲3五桂△2四飛▲2三桂成△同歩▲2五歩△4四飛▲同角△同歩▲7一飛△6二銀▲9一飛成△4五歩(第5図)

後手は△3三桂~△5二玉として少しでも粘れる手順を選びましたが、この後の先手の攻めが非常に的確でした。
▲3五桂が厳しい手で後手は銀を逃げると▲1五歩で痺れるので△2四飛と切り返しますが、▲2三桂成~▲2五歩が上手い手順。
△同飛は▲3三角成!△2七飛成▲5一馬△同玉▲2七銀で守りの薄い後手は収拾がつかなくなります。
よって△4四飛としましたが飛車角交換から飛車を打ち込まれ徐々に守りを削られていきます。
迎えた第5図、先手は鋭い攻めで後手陣を崩壊させました。

第5図以下の指し手
▲2四歩△同歩▲5四桂!△同歩▲2四飛△4六歩▲同歩△4二桂▲2一飛成△3一歩▲4四銀△6三玉(第6図)


先手陣が固く▲2四歩を手抜きすることができないため△同歩と応じましたが、そこで▲5四桂のただ捨てが上手い1手。
後手は△同歩の1手ですが、▲2四飛に△2三歩とすると▲5四飛と回る手があり後手は角か桂の合駒しかないので潰れ形になります。
シリーズの流れを大きく左右する第1局の将棋なので、多少遅くても手厚い攻めを選択されても問題ない局面でしたが、豊島王位はキレキレでここから最短距離で勝負を決めにいきました。

第6図以下の指し手
▲3二竜△同歩▲5三金△同銀▲同銀成△同玉▲5一竜△5二桂▲6二銀△4三玉▲4四香△同玉▲4二竜△4三香▲5三銀不成△3四玉▲3五金△2三玉▲2四歩まで先手・豊島王位の勝ち

▲3二竜~▲5三金が光速の寄せ。
△7二玉と逃げる手は▲8六香で1手1手の寄り。
本譜は△同銀と応じましたが、先手は駒を取りながら後手玉を追い詰める理想的な寄せとなりました。
投了図以下、△1四玉は▲1五歩まで。△1二玉は▲3二竜△2二銀▲2三歩成で詰み。
△2二玉は▲3四桂△2一玉▲4三竜で次に▲2三香△1二玉▲2二桂成が受かりません。
また先手陣は手付かずで攻め手がないため後手は投了やむなしとなりました。

本シリーズは木村九段が数々の強豪を破って挑戦権を獲得され、タイトル挑戦7度目ということでかなり気合が入った状態で臨まれておりました。
その挑戦者に対して、豊島王位はまさに手も足も出させぬ圧勝劇を見せました。
強すぎ・・・(。 ̄□ ̄)
34手目の△2三銀から差がつきましたが、そこまで悪い手ではなかったと思います。
それを咎めて、さらに僅かなリードを広げていった豊島王位が凄すぎました。
A級レベルの相手をなぎ倒してきた強い挑戦者がここまで一方的にされるとは・・・
木村九段にとっては勝敗以上に内容面で圧倒されたことが痛い第1局となりました。
果たして、豊島王位に一泡ふかせることができるのか・・・
第2局は日にちが空くので木村九段は何か対策を練りたいところです。
注目の第2局は7月30~31日です。
月末で仕事が立て込みそうですが、なんとか観戦したいと思います(`・ω・´)

以上、最後までお読みいただき有難うございました。

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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