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《竜王戦》藤井七段 大熱戦を制し4回戦進出!

7月5日(金)に第32期竜王戦決勝トーナメント ▲久保利明九段vs△藤井聡太七段の対局が行われました。

4組優勝の藤井七段と1組5位の久保九段がトーナメント3回戦で顔を合わせました。
4回戦進出を賭けた一戦は逆転につぐ逆転の大熱戦となりました。
戦型は先手の久保九段が中飛車を採用されました。

第1図は後手の藤井七段が5筋の歩交換を行ったところ。
ここから戦局が大きく動きます。

第1図以下の指し手
▲5七銀△5五歩▲7六飛△8六歩▲同飛△同飛▲同歩△8七飛▲7八金△8六飛成▲6一飛△8二竜▲6四飛成△8六歩▲8四歩△6三金▲6六竜△8四竜▲7六竜(第2図)

▲5七銀が久保九段らしい相手に攻めさせて捌きを狙った1手でした。
8筋が薄いところで、さらに左銀を中央に移す手。
これだけ左辺の守りを最小限に済まされると、後手としても許したくないところです。
△8六歩から攻めを敢行し、互いに竜を作り合う大味な展開に進みました。
迎えた第2図、後手の攻めを先手が絶妙な手順で守り、互いに譲らず形勢は互角。
大味な展開から一転して、ここから渋い展開になります。

第2図以下の指し手
△7四歩▲6六角△6四金▲7四歩△7五歩▲8五歩△7四竜▲8六竜△7三桂▲8八角△4五歩▲同歩△7六歩▲6六銀△5六歩▲7五歩△6三竜▲7六竜(第3図)

△7四歩から互いに間合いを計るような渋い展開になりました。
△7五歩に▲8五歩が振り飛車らしい切り返し。
金銀が上ずっている分、飛車交換は振り飛車有利になるため後手は飛車交換を回避します。
後手としては6四金・5四銀を生かして押さえ込みを図るか、上部から押し潰す展開に持ち込みたいところです。

第3図以下の指し手
△6五歩▲7七銀△4五銀▲4六歩△4七歩▲7九角△5七歩成▲同角△5四竜▲3九角△8五桂!(第4図)

後手は△6五歩▲7七銀と中央を手薄にしてから▲4五銀として先手陣を押し潰しにいきます。
▲4六歩に対して、後手は単に△4六同銀でも問題なさそうでしたが△4七歩が突っ張った1手。
ここまで突っ込むと後手は銀を引くと▲5六竜で歩を払われ、攻めが頓挫するので攻め続けるしかありません。
果たして攻めが続くのか・・・
局後、感想戦で藤井七段は▲7九角の受けをうっかりされたとの事でした。
しかし、このうっかりは致命傷には至らず、強手△8五桂で切れかけていた攻めが繋がり後手は息を吹き返しました。

第4図以下の指し手
▲8五同竜△4六銀▲6八金△5六歩▲5八歩△4五竜▲5九桂△1五歩▲同歩△1六歩▲8一竜△4四角(第5図)

▲8五同竜はこの1手。
△4六銀から中央を押し込まれましたが、先手も▲6八金~▲5八歩で受け止めます。
後手は△4五竜と圧力をかけましたが、ここは△3五歩として次に△5五角~△3六歩のこびん攻めを見せた方が優れました。
本譜は△4五竜に対して▲5九桂とがっちり受けましたが、これが疑問手となり形勢は再び後手に傾きました。
先手は黙って▲8一竜としておくべきでした。
数手後に▲5九桂の罪が顕在化します。

第5図以下の指し手
▲9一竜△1五香▲1八歩△7六歩▲同銀△9九角成▲4八歩△同歩成▲同金△8九馬▲4七歩△3五銀▲4六香△5四竜▲4三香成△同竜(第6図)

△1五香▲1八歩と端を押し込み、△7六歩~△9九角成と左辺に手を移したのが好着想。
先手は手堅く守りすぎて逆に味方の駒で玉の退路が無くなりました。
右辺から一気に攻め潰す構えを見せ、先手に守らせてから左辺に手を付ける指し回しが冷静な手順でした。
先手はかなり苦しい形勢になりましたが、ここから久保九段が見せた粘りが見事でした。

第6図以下の指し手
▲6一竜△5四金▲6五銀△同金▲同竜△1一香▲4九金△8八馬▲6六角△同馬▲同歩△1七歩成▲同歩△同香成▲同香△同香成▲3九玉(第7図)

▲6一竜から金銀交換が行われた後の△1一香が疑問手で形勢が急接近しました。
ここは△7九馬▲7八金打と金を使わせておくべきでした。
本譜は▲4九金~▲6六角とすることができ、味方の駒で逃げ道が塞がっていた先手陣が一気に広くなり互角の形勢に戻りました。
久保九段の凄まじい粘りで互角になりましたが、その直後に対応を誤りました。
△1七歩成から殺到した手に対して▲3九玉が悪手で再び形勢が後手に傾きました。
▲3九玉に代えて▲1七同桂△1六歩▲1八歩と進めておけば後手は攻めあぐねていました。

第7図以下の指し手
△2八銀▲4八玉△5二香▲6七桂△5四香打▲5五香△2九銀不成▲同銀△4六歩▲5九玉△4七歩成▲4四歩△同竜▲1一角△4八歩▲3九金△5七歩成▲同歩△8七角▲6一竜△5八歩(第8図)

△5二香が攻防に利いた手で後手が勝利に近付いたように見えましたが、△8七角~△5八歩の攻めが危険な寄せでした。
先に△5八歩と打ち、以下▲6九玉△8七角▲7九玉△6五角成▲同歩△7六桂であれば後手の攻め合い勝ちが見込めました。
本譜は▲6一竜と入られ、後手玉が一気に危なくなりました。

第8図以下の指し手
▲同金△4九歩成▲同玉△5八と▲同玉△4六桂▲6八玉△5一歩▲2二銀△7八金▲5九玉△4七桂▲4八玉△3九桂成▲2一銀不成△4三玉▲6三竜(第9図)

ここからは両者1分将棋となり指運の勝負になりました。
互いに最善を逃し、1手ごとに形勢が入れ替わります。
△4九歩成に対して▲同金としておけば互角の勝負が続いていました。
本譜の▲同玉は悪手で△2二桂とされていると先手に有効な攻めがなく、後手の手勝ちが見込めました。
しかし、今度は後手が対応を誤ります。
本譜は△2二桂を逃し、△5八と~△4六桂と攻めたのがまずく形勢は先手に大きく傾きました。
互いに最善を逃して迎えた第9図が本局のハイライト。
①△5三金は▲3二銀打△4二玉▲4一金で詰み。
②△5三竜は▲3二銀打△同金▲同銀不成△同玉▲3三金打△同竜▲同角成△2一玉▲1一飛まで。
③△5三金打は▲3二銀打△同金▲同銀不成△同玉▲3三金打△同竜▲同角成△同玉▲5三竜△同香▲2五桂(変化図)で

(1)△2四玉は▲1四金△同玉▲1二飛△2五玉▲1五金で詰み。
(2)△4二玉は▲3二飛△同玉▲3三金でどこに逃げても頭金で詰み。
(3)△4四玉は▲4五歩△4三玉(△同玉は▲4三飛△4四金▲5六金まで)▲3三金△5二玉▲4二飛△6三玉▲7四金でいずれの変化も即詰み。
よって本譜は▲6三竜に対して△5三香と受けますが・・・

第9図以下の指し手
△5三香▲3二銀打△同金▲同銀不成△同玉▲3三金△同竜▲同角成△同玉▲5三竜△4三金▲2五桂△2四玉▲1四金△同玉▲1三飛△2四玉▲2三飛成△1五玉▲4三竜左△5八桂成まで後手・藤井七段の勝ち

▲3二銀打△同金▲同銀不成△同玉に対する▲3三金が痛恨の悪手で敗着となりました。
▲3三金に代えて▲6二竜としておけば後手玉は詰んでおりました。
▲6二竜以下△5二金▲3三金△同竜▲5二竜△同歩▲3三角成△同玉▲2五桂で①△2四玉は▲1四金△同玉▲1二飛△2五玉▲1五金まで。
②△4四玉は▲4五歩△同玉▲4三飛△4四金▲5六金まで。
③△4二玉は▲4三歩△5一玉▲8一飛△6一金▲4二金△6二玉▲8二飛成△6三玉▲7四金でいずれの変化も即詰みとなっておりました。
本譜はこの順を逃したため、後手玉に詰みはなく、逆に駒を渡し過ぎたため先手は受け無しとなり大勢決しました。
投了図以下、①▲同玉は△6九角▲4八玉△4九金で詰み。
②▲3九玉は△4八金▲同竜△同成桂▲同玉△4七銀▲同玉△4六飛で5八・3八どちらに逃げても△4八金まで。
③▲4七玉は△6五角打▲同歩△同角成▲5八玉△6九銀▲4八玉△4九金でいずれも即詰み。

いや~すごい勝負でした!
何度も形勢が入れ替わる内容で最後までどちらが勝つか分からない手に汗にぎる1局でした。
藤井七段の攻めの強さもさることながら、久保九段の粘りはとても勉強になる素晴らしい粘りでした。
これだけ粘られると相手は嫌になりますね。
将棋界で一番勝率が高い棋士も間違えるのですから本当にすごい粘りです。
しかし、藤井七段の攻めも相変わらず強烈でした。
久保九段は的確な受けを求められる局面が続きましたので時間を使わざるをえず、最後の場面で考える時間がなくなり詰みを逃すことになりました。
あの場面は変化が膨大にあったので、1分将棋の中で人間が詰みを読み切ることは不可能だったと思います。
非常にスリリングな展開でリアルタイムで観戦していて良かったです。

本局の結果、藤井七段は4回戦に進出しましたが、次の相手は豊島三冠!
ついにこの対局が実現しました。
相手は渡辺二冠と共に現在棋界最強と評される棋士ですが、一撃を入れる可能性は十分あると思います。
どちらも応援している棋士なので勝敗予想はできませんが、素晴らしい対局になることを期待しています。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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