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《竜王戦》木村九段 難敵を下し準決勝進出

7月8日(月)に第32期竜王戦決勝トーナメント ▲佐藤天彦九段vs△木村一基九段の対局が行われました。
A級に在籍するトップ棋士2人の対局は前評判通り大熱戦の将棋となりました。

戦型は佐藤九段の先手で角換わり腰掛け銀の最新型となりました。


第1図は現在、先手からの仕掛けが困難とされている局面で本局もここから戦機を探る展開となりました。
駒がぶつかったのは第1図から40手ほど進んだ第2図。
後手が飛車を5筋に回った手に対して先手が▲4八金と意図的に隙を見せたところ。

第2図以下の指し手
△5五歩▲3五歩△4四歩▲4五歩△5六歩▲3四歩△同銀右▲4四歩△3六歩(第3図)

▲4八金に対して後手は△8一飛としておけば、おそらく千日手になっていたと思われますので先手としては苦肉の策だったと推察されます。
後手はここまで待機策が作戦通り嵌っていたので形勢に自信を持たれていたと思われます。
後手が△5五歩と指し、遂に戦端が開かれました。
▲3五歩に対する△4四歩は覚えておきたい受けの1手。
先手は攻めを繋げるためには大砲である飛車と角を捌く事が必須ですが、大砲を使うには小駒の活用が不可欠です。
本局における小駒は右辺にある金と桂馬。
右金は後手に攻めさせるために▲4八金と引いているので、すぐに攻めに使うことは難しく、頼りは▲3七桂になります。
この桂馬を抑えれるかどうかで形勢に差が出てきます。
▲4五歩は桂馬の活用を目指した手ですが、後手は△5六歩と歩を取り込んでから△3六歩として桂馬を排除しに行きます。
第3図、何の見返りもなく桂馬を取られるとゲームセットになるため、先手はここで手を作らなければいけません。

第3図以下の指し手
▲1七角△3五角▲同角△同銀▲2四歩△同歩▲1七角(第4図)

▲1七角が攻めを繋げる自陣角。
遠く6二玉を見据えた手で△7二玉と逃げると▲3五歩で銀を捕獲されますので簡単に凌ぐことができません。
本譜は△3五角として1七角を消しましたが、再度▲1七角と打たれ後手はなかなか攻めを振りほどけません。

第4図以下の指し手
△5五飛▲4七金△3七歩成▲4三歩成△同金▲4六金△5三飛▲3五金△2八と▲4四歩△4二金▲3四歩△2七と(第5図)

後手は△5五飛として銀取りを受けましたが、そこで▲4七金とした手が好判断。
▲1七角として飛車が上げさせたことで▲4七金~▲4六金が飛車取りになりました。
先手は攻めを繋ぐには小駒の活用が不可欠ですが、ここでは3七桂を活用させることが難しくなっていました。
そこで眠りかけていた4八金を活用したのが好判断で攻めを繋ぐことに成功しました。
形勢は微差ながら先手良しですが、木村九段の粘りも素晴らしく微差のまま終盤戦に突入しました。

第5図以下の指し手
▲3三歩成△同桂▲4三銀△4一歩▲3一銀△1七と▲4二銀引不成△同歩▲同銀不成△5五飛▲4六金△3五飛▲同金△4八飛▲3二飛(第6図)

▲3三歩成と銀を取ってから▲4三銀としましたが△4一歩がいい受け方でした。
一番安い駒の歩で受ける事で先手に余計な攻め駒を渡さないようにしています。
▲3一銀は重たい手で如何にも感触の悪い攻め方なので、所感としてはここで逆転してきていると感じました。
しかし、ここで後手は最善手を逃しました。
△1七と は自然な手に見えましたが疑問手で、この手に代えて△4八飛としておけば、その後の展開で▲4六金が打てなくなり後手がはっきり優勢になっていました。
角はいつでも取れるので後手は急いで取る必要がなかったのです。
本譜の展開は後手が大きく駒得していますが、穴熊の固さと右玉の薄さが大差で先手良しとなっています。
ただ先手は攻め駒が少ないため少しでも攻め方を誤ると指し切りになるので実戦的には指し手が分かりやすい後手のほうが負けにくいように感じます。

第6図以下の指し手
△7九銀▲3三銀不成△4二歩▲同銀不成△6五桂▲5四歩△同金▲5八歩△7七桂成▲同銀△6七角▲7八桂△6五桂(第7図)

△7九銀が良いタイミングの攻めでした。
後手玉は横腹が空いていて非常に怖い形ですが、ここで下手に受けに回ると逆に先手の攻めが早くなります。
▲3三銀不成に対する△4二歩が上手い受け。
「大駒は近づけて受けよ」の格言に習った手で▲同飛成には△5二金と弾く手を見込んでいます。
本譜は後手の狙いを避けるため▲同銀不成としましたが、△6五桂が逃げ道を広げながら攻める攻防兼備の1手。
通常の囲いでは金や銀などを投入して守りを固めますが、右玉の場合は△4一歩(116手目)や△4二歩(130手目)、そして△6五桂といった駒の投入は最小限に広さを生かして受け流す感覚が重要になります。
右玉を指される方は是非棋譜に並べてこの感覚を吸収していただければと思います。
この手を境に攻守が入れ替わり、形勢は後手に傾きました。
先手としては指しにくいですが△4二歩に▲同飛成として以下△5二金▲2二竜△6五桂▲4三歩成と攻め合う展開にしなければいけませんでした。
1手を争う終盤戦で1回逃げる手なので非常に指しにくく、さすがの佐藤九段も指し切れなかったと思います。
先手の対応がまずかったというより木村九段の指し回しが上手かったと言える応酬でした。
この順を逃してからは先手が優勢になる局面はありませんでした。
第7図以降、木村九段が的確に攻め続け佐藤九段を投了に追い込みました。

本局の結果、木村九段は準決勝進出となり、次は永瀬叡王vs鈴木九段の勝者と対戦することになりました。
木村九段は竜王戦の活躍以外に王位戦も挑戦者となっていて非常に好調ですね。
ここ一番での勝負強さが光っていて誰が相手でも1撃を入れる可能性が高く、観戦するのが楽しく感じます^^
非常に厳しい相手ばかりですが念願のタイトル奪取を期待したいと思います。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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