投稿タイトル上

渡辺二冠 棋聖を奪取し三冠に

7月9日(火)に第90期棋聖戦五番勝負 第4局 ▲豊島将之棋聖vs△渡辺明二冠の対局が行われました。
渡辺二冠の2勝1敗と棋聖奪取に王手をかけて迎えた第4局。

戦型は後手の渡辺二冠が雁木を採用され、対する豊島棋聖が左美濃から仕掛ける展開となりました。

第1図以下の指し手
▲4五歩△4二金右▲4四歩△同銀右▲2四歩△同歩▲2五歩△5五歩▲2四歩△2二歩▲4五歩△5六歩▲4四歩△同角(第2図)

先手はこれ以上手をかけても玉形が固くなることはないので▲4五歩から仕掛けを敢行します。
先手は継ぎ歩攻めで2筋を押し込んだ後▲4五歩としましたが、▲4五歩のところでは▲6五銀か▲4七銀と曲線的な展開にしておく方が優れました。
5三銀型の雁木囲いは4筋が一番固いところなので、先手は真正面からぶつかる本譜の手順は得策ではありませんでした。
2筋を押し込んでいるので、先手はゆっくりした展開でも問題がなかったのです。

第2図以下の指し手
▲5五銀△7一角▲5六歩△4四歩▲7七桂△5四歩▲4六銀△7四歩▲2五飛△7三桂▲7五歩(第3図)

第2図で▲4四同角△同銀▲7一角は△8四飛で攻めが頓挫するので▲5五銀は致し方ないところ。
△5四歩▲4六銀で仕切り直しとなりましたが、後手は2筋を押し込まれたものの銀を手持ちにできているので、悪くないファーストコンタクトだったと思います。
先手は先程△5五歩と突かれたところでは銀を逃げてゆっくりした展開でも問題ありませんでしたが、ここでは後手の持ち駒に銀があることと、3三角が7一に移ったことで△3三桂と玉の逃げ道を広げる手があり、有効な手が多い分ゆっくりしていると後手にポイントが入りやすくなっています。
よって先手は▲7五歩と本筋ではない玉頭から動くことになりました。
自玉の弱点である玉頭からの攻めなので、先手は不本意な仕掛けだったと推察されます。

第3図から20手ほど進み第4図に。▲8五飛と回った局面。
後手が攻めあぐねたため、ここでは先手有利になっています。

正しく手を進めれば先手有利が拡大していましたが・・・

第4図以下の指し手
△8九歩成▲同銀△8八歩▲7八銀△5三角▲8一飛成△4一香▲6三と△9七角成(第5図)

次に▲7九玉と銀を取られると後手は攻めが切れるので△8九歩成は致し方ないところ。
先手がここで▲8一飛成とせずに▲同銀と手を戻したのがプロ好みの落ち着いた1手。
慌てて▲8一飛成とすると角を逃げずに△8八銀不成とされ次に△7九と▲6八玉△7八と▲同金△7七歩の攻めで食い付かれます。
本譜▲8九同銀で後手は依然として銀取りが残っていますので△8八歩と攻めます。
ここで短時間で指した▲7八銀が手拍子の悪手。
竜の横利きが通り銀に紐が付いたため、後手は△5三角と角を逃がすことができました。
ここは▲7八銀に代えて▲8一飛成とすべきでした。
以下△8九歩成▲7一竜と角を取って攻め合う展開で有利を維持できました。
先程まで7九銀と7一角が死に体になっていたのが、数手の応酬で両方生き残る結果になりました。
△5三角とされたところで豊島棋聖の手が止まり、貴重な持ち時間が残り5分余りとなりました。
解説でも言及されていましたが、時間の使い方が変調で明らかに誤算があったように見受けられました。
△9七角成とされたところは、形勢はわずかながら後手良し。

第5図から手が進み迎えた第6図。
貴重な持ち時間が無くなった影響もあり、豊島棋聖の指し手が大きく乱れました。

第6図以下の指し手
△6九歩成▲同銀△8九竜▲9五角△6八歩▲同金△同銀成▲同玉△7九金▲7八銀打△6九金▲同銀△4九馬(第7図)

△6九歩成に▲同玉は△4九馬とされ次の△6八歩が厳しいため▲同銀はこの1手。
じっと△8九竜に対する▲9五角が1手パスに近い手で敗着となりました。
△4九馬とされた局面は後手の攻めを振りほどくことができず、また後手陣は堅牢で攻め合いに持ち込むこともできません。
▲9五角のところでは▲5七銀として6八の地点に利きを増やしておくべきでした。
本譜と同じように△6八歩とされた場合は▲同銀引△同銀成▲同玉で今度は後手の持ち駒が「銀」なので、先手玉に寄せはありません。
本譜は▲9五角から第7図まで進みましたが、9五角が受けにも攻めにも効いていないのが分かります。

第7図から先手が粘りを見せ、第8図の局面に。

▲3九金と△4八金の詰みを防ぎながら飛車に当てた局面。
飛車取りで忙しい局面ですが、ここから後手が先手玉を華麗に仕留め切りました。

第8図以下の指し手
△5七金▲同銀△同桂成▲4六玉△3八銀(第9図)

△5七金▲同銀△同桂成に▲同玉は△6七歩成で①▲同玉は△6六銀で詰み、②▲4七玉は△5八銀▲4六玉△5三金で次の△5七角が受け辛く1手1手の寄り。
③▲4六玉は△5七銀▲4七玉△5八銀不成▲4六玉△5三金で上記と同じ形で寄り。
ということで△5七同桂成には▲4六玉と逃げましたが△3八銀が面白い寄せ方。
次に△4七銀成の詰みがあるため▲2八金と飛車を取ることができません。
4七の地点を受けなければいけないのですが▲4八歩と受けても△3九銀不成と駒を回収されながら詰めろがかかる状態であるため、先手には有効な受けがありません。
本譜は▲5七玉としましたが△3九銀不成とされ、以下数手で先手が投了に追い込まれました。

本局は渡辺二冠が最近指されていなかった角道を止める意表を突いた作戦でした。
終盤に差し掛かるところまでは難解な戦いが続いていましたが▲9五角の悪手から一気に差を広げられ、豊島名人としては悔やまれる1手となってしまいました。

ここ最近の渡辺二冠の将棋は相手に少しでも悪手・疑問手が出ると的確に咎める鋭さがありますね。
本シリーズでも的確に咎めてリードを広げてられており、唯一負けた第1局も終盤の寄せ方を誤っての負けでしたので、結果もさることながら内容面でも豊島名人より一枚上手だったと思います。
名人を獲得し棋界トップに君臨する豊島名人相手にこの結果・内容は圧巻の一言です。
負けはしたものの豊島名人もさすがの強さを見せており、シリーズを通してハイレベルな対局ばかりでした。
お二方共お疲れ様でした。

これで渡辺三冠となりましたが、ここからさらにタイトル数を増やしていくのか、それとも別の棋士が台頭し渡辺三冠の地位を脅かすのか・・・個人的には強い棋士がどんどん出てきて群雄割拠を期待したいところです^^

以上、最後までお読みいただき有難うございました。

The following two tabs change content below.
habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

下をクリックして応援いただけると幸いです。宜しくお願い致します。。

本文2
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク