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《竜王戦》豊島二冠 難解な力将棋を制し先勝

8月13日(火)に第32期竜王戦挑戦者決定三番勝負 第1局 ▲木村一基九段vs△豊島将之二冠の対局が行われました。

竜王戦挑戦権を賭けた三番勝負第1局、戦型は木村九段の先手で相掛かりとなりました。
両者らしく序盤は穏やかな展開になるのかな~と思った矢先、局面が大きく動きました。

▲7七桂は角の逃げ道を自ら塞ぐ手で、△8七歩が見えているので非常に指しづらいのですが一応前例あり。
※前例では△3四歩もしくは△8二飛。△8七歩は誘いの罠と判断。
豊島二冠の選択された手は・・・

第1図以下の指し手
△8七歩▲8五歩△8八歩成▲8四歩△7八と▲同銀△7二金打▲8五飛△8二銀▲8九飛打△9二角(第2図)

豊島二冠は短時間で△8七歩を選択。
事前に研究済みということですが…(ー_ー;)研究範囲がすごいですね・・・
普通は角金と飛の交換で大きく駒得する後手が有利になるのですが、このケースでは歩切れになることと第2図まで進んだ時に大駒の働きが大差であるため形勢のバランスは取れています。
ひと昔前ではありえない変化で、ソフトの技術革新によって出てきた変化ですね。
大一番に備えて木村九段が事前に綿密な研究を重ねていたことが容易に想像できます。
しかし、豊島二冠も凄いです。
駒の損得勘定が通用しない、この難解な力将棋を比較的早いペースで指しているということは事前に研究していたということになります。
複数冠保持していた時の羽生九段もそうでしたが、多忙で勉強時間がなかなか取れないハズなのに相手に誘導された局面でしっかり対応されているのが不思議です。
この後、誘導された側の豊島二冠が正確な手で徐々に局面をリードしていきます。

第2図以下の指し手
▲9六歩△3四歩▲9五歩△4二銀▲8六飛引△5五角▲9四歩△同歩▲9三歩△同桂▲9四香△6四角▲7五歩(第3図)

局面は過去の経験が生きにくく、構想力が問われる力将棋となりました。
後手は大きく駒得していますが駒の働きが悪い上に、どのような方針で指し手を進めていけばいいのかが見えにくくなっています。
「駒得を生かすにはスローペースの展開にして駒の働きを上げていくことが重要」という事で後手は2二角を働かす手順を選択しました。
この手順が非常に素晴らしかったです。
私は△3四歩で2二角が遠くまで利いているので、もう一つの大駒「9二角」を働かす必要があると思っていました。
しかし、この将棋は角より小駒の価値の方が高い将棋になっているので9二角は無理に動かす必要がありませんでした。
過去の経験が生きにくい難しい将棋でしたが、ここは豊島二冠の形勢判断の良さが光った場面でした。
先手が9筋から攻めを開始した第3図、ここから豊島二冠の歩の使い方が巧みでした。

第3図以下の指し手
△8八歩▲同飛上△8五歩▲同桂△同桂▲8七飛上△9七桂成▲同飛△7五角▲8七飛引△7六桂(第4図)

△8八歩が鋭い1手。
①▲同飛引は△3七角成~△7六桂から飛車を取って後手有利。
②▲9九飛は△7五歩▲9三香不成△同銀▲同飛成△4七角成▲同銀△9三香で後手有利。
先手玉は金を取られ弱体化しているので飛車を渡すと途端に潰れ形になります。
本譜は▲同飛上としましたが、ここで△8五歩が上手いタイミングの歩打ち。
▲9六飛は△7五歩とされ▲9三香不成には△同銀▲同飛成△4七角成で先ほど同様に飛車を取られます。
よって▲同桂としましたが、角取りに構わず△同桂が的確な状況判断に基づいた1手。
▲9二香成は△同香で①▲8五飛は△7六桂、②▲5八玉は△9七桂成▲8九飛△7五角▲7六飛△8七歩でいずれの変化も先手は大駒の働きが悪く後手陣に攻め込むことができないため後手勝勢となります。
本譜は△7六桂の筋を消すため▲8七飛上と辛抱しましたが△9七桂成~△7五角~△7六桂で痺れました。
△7六桂に対して、先手は守り駒となる右辺の金銀の近くに逃げる手を選択したいところですが①▲5八玉には△9七角成▲同飛△6八飛▲5九玉△7八飛成、②▲5九玉は△8八桂成▲同飛△9七角成でいずれも寄り筋となるため、右辺に逃げることができません。
本譜は上部へ脱出を試みますが・・・

第4図以下の指し手
▲7七玉△8六歩▲8九飛△5七角成▲6九銀△9三歩▲7三歩△7一金引▲9三香成△同銀▲同飛成(第5図)

▲7七玉に△8六歩が細かい利かし。
▲同飛には△8八桂成!という華麗な攻めがあります。
▲同玉は△8六角、▲同飛は△9七角成でいずれも飛車を取られます。
泣く泣く▲8九飛と引きましたが△5七角成が厳しい1手。
次に△6八馬▲7六玉△7八馬の攻めがあるのですが、▲7六玉と桂馬を取るのは△7五歩▲7七玉△9六歩▲同飛△7四角で眠っていた角を活用されます。
よって先手は▲6九銀と受けましたが△9三歩が手勝ちを読み切った一着。
先手はこの歩を取るしかないので▲9三香成から攻め込みましたが・・・

第5図以下の指し手
△6八桂成▲5八銀打△同成桂▲同金△8七歩成▲同飛△7六香▲同玉△7五歩▲8六玉△6五角まで後手・豊島二冠の勝ち

△6八桂成が決め手。
▲同銀は△7五香で以下▲7六桂△同香▲同玉△6八馬で寄り。
7三歩があるため△7五香に▲7六歩と受けれないのが先手の泣き所。
先手は▲5八銀打と粘りますが△同成桂▲同金に△8七歩成が上手い捨て駒。
▲同玉は△8五香が痛打。先ほど同様、この王手も歩で受けることができません。
よって▲同飛としましたが、△7六香~△7五歩と手順に歩を伸ばし△6五角が綺麗な寄せ。
9一香が9三竜取りになってるので▲9一竜とするくらいですが△8七角成▲同玉△7六銀▲9八玉△5八馬▲同銀△7八飛で①▲8八香は△8七金、②▲9七玉は△8七金▲9六玉△9八飛成でいずれも即詰み。
延命することは可能ですが、後手陣が手付かずで攻防共に見込みが無いため投了はやむを得ません。

本局は木村九段がとっておきの作戦を披露しましたが、豊島二冠の研究範囲で残念ながら返り討ちとなりました。
ある程度、優勢もしくは勝負形になることを前提とした作戦だったと思慮されますので、この負けは木村九段にとって痛い負けだったと思います。
用意していた作戦があっさり破られたことは精神的に追い込まれます。
来週20日(火)に王位戦第4局、そして23日(金)に竜王戦挑戦者決定戦第2局とすぐに豊島二冠戦が控えているので早急な立て直しが必要になりますが、果たしてどうなるか・・・
王位戦第3局で木村九段が快勝したので流れが変わったかに思えましたが、やはり豊島二冠は強かった…強すぎましたね
個人的には藤井七段・渡辺三冠を破った豊島二冠を応援していますが、木村九段にも頑張っていただきたいです。
次局以降の挽回して二人のハイレベルな戦いが見れるのを期待したいと思います。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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