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木村九段 逆転勝ちで竜王戦挑戦権の行方は第3局へ

8月23日(金)に第32期竜王戦挑戦者決定戦三番勝負 第2局 ▲豊島将之二冠vs△木村一基九段の対局が行われました。

豊島二冠の先勝で迎えた竜王戦挑戦者決定戦第2局は苦しい状況を耐え忍んだ木村九段の逆転勝ちとなりました。

木村九段の勝負術が光った一局を振り返りたいと思います。
戦型は豊島二冠の先手で相掛かり。
前回投稿で王位戦第5局の戦型を相掛かりと予想していましたが、一足先に竜王戦の方で見ることになりました。

8月20日~21日に第60期王位戦七番勝負 第4局 ▲木村一基九段vs△豊島将之二冠の対局が行われました。 豊島王位が王手をかけるか、...

個人的には少し驚きました。
タイトル防衛経験のない豊島二冠は王位戦に比重を置いた戦いになると思っていたので、相掛かりは王位戦に取っておく気がしていました。
もちろん竜王戦もビッグタイトルで重要なのですが・・・(-_-;)

豊島二冠が必勝を期して臨んだ本局、指し手からこの一戦に賭ける強い意気込みが伝わりました。

24手目(第1図)までの豊島二冠の消費時間は0分!
ここで初めて時間を消費(2分考慮)し、▲2四歩から動きました。

そこから10数手進み、第2図の局面で昼食休憩。
ここまでの消費時間はなんと3分!(;゚ロ゚)

本来、郷田九段のように自分が納得いくまで考えたい性格で長考派だった豊島二冠。
しかし、その戦い方では終盤で考える時間がなくなるということで序盤を手早く進める戦い方にモデルチェンジして今に至りますが・・・
それにしてもこの時間の使い方はすごい (゚д゚*)

この時間の使い方の大きな効果として
①消費時間を抑え、形勢が大きく動く終盤戦で時間を投入することができる
②相手は研究に嵌ったことで精神的な圧力を受ける

実戦では特に②の効果が大きいです。
相手は疑心暗鬼になり、なんとか研究範囲から外れようと特殊な手を捻り出そうとします。
しかし、序盤で急に捻り出した手でうまくいくケースはほとんど無く、逆に形勢を悪くするケースが多いです。
早指しは精神的な圧力をかけることで相手に自滅させる効果が生まれるのです。
さらに並みの棋士ではなく、名人がノータイムで指してくるので木村九段には相当な圧力がかかったことと思います。


先手が飛車をばっさり切って攻め込んだ第3図、ここまでの豊島二冠の消費時間は4分!
対する木村九段の消費時間は3時間近くで形勢も思わしくないため、非常に苦しい戦況となりました。
しかし、ここから木村九段が見せた勝負術がすごかった。

第3図以下の指し手
▲2二歩△7五歩▲2一歩成△7六桂▲6九玉△8九角▲5九玉△7八角成▲同銀△7九飛▲6九角△4一飛(第4図)

2時間を超える長考で▲2二歩。
戦力補充するため桂香を取りにいった手。
歩切れになりますが▲2二銀不成から取りにいくのは銀が質駒となるので実戦的には▲2二歩から取りにいく方が自然な手です。
後手は攻めか守りか判断に迷う局面でしたが、ここから木村九段の猛攻が凄かった。
まずは△7五歩~△7六桂と玉の逃走ルートを広げながら先手玉に楔を打ち込みます。
そして△8九角~△7九飛が実戦的な上手い迫り方でした。
飛車角を使った大振りのパンチで正しく応対されると形勢を悪化させる攻めでしたが、逆転するには後手もリスクを負わなければなりません。
負ければ敗着になりうる攻めでしたが・・・
このリスクを負った攻めの見返りは木村九段にとって非常に大きなリターンとして返ってきました。

△7九飛に対して▲6九角が悪手で先手優勢だった形勢は互角に戻りました。
ここでの正着は▲4八玉!と銀を見捨てる手でした。
以下、△7八飛成▲3七玉となりますが上部に逃げると4三馬と2三銀が守りに利き、後手はこれ以上攻めることができませんでした。
また後手玉は角を渡したことで▲8六桂もしくは▲6六桂とされると一気に危険な状況となります。
ただ、この順は銀をボロッと取られるので先手がこの手を選択するのは困難だったと思います。
先手が誤ったというより、絶妙なタイミングで攻めに転じた木村九段の勝負術が素晴らしかったです。
最後の△4一飛も厳密には悪手でしたが、先ほど同様に先手が正着を選択しにくい絶妙なタイミングでの勝負手でした。
先手は▲3二銀不成と強く踏み込めれば勝機がありましたが、薄い玉形の先手がここで踏み込むことは非常に難しいところ・・・

第4図以下の指し手
▲6五金△同桂▲同馬△7三玉▲8五桂打△8二玉▲4六歩△6四金▲7四桂△同金▲同馬△4六飛(第5図)

▲6五金~▲同馬と王手をかけながら手順に馬を逃がしましたが、この手がまずく形勢が後手に傾きました。
後手は手順に下に落ちることで守り駒となる金銀の近くに逃げ込むことができました。
先手は▲4六歩と手を戻しましたが、この手が痛恨の場機で敗着となりました。
ここまでプレッシャーをかけながら攻め続け、先手が誤った瞬間に△6四金と手を戻したのが冷静な1手。
後手玉が一気に遠くなり、先手が勝てない状況となりました。
▲4六歩に代えて▲7四桂とし、以下△7一玉に▲4六歩と楔を打ち込んでから手を戻していれば逆転の可能性は十分ありました。
この手を逃し、本譜の△4六飛と走られた局面は先手が後手玉に迫る手がなくなり万事休す。
以下、数手で先手は投了に追い込まれました。

本局は木村九段らしい粘り勝ちでした。
一方、豊島二冠にとってはここまで温めていた相掛かりでの負けということで痛恨の敗戦となりました。
竜王戦挑戦者決定戦はここで決めるという覚悟をもって相掛かりを選択したと思うので、この敗戦は王位戦にも大きく影響が出るハズです。
挑戦者決定戦1局目に勝ったときは木村九段が非常に苦しくなったのですが、王位戦第4局・本局と立て続けに勝ったことで今度は豊島二冠が非常に苦しくなりました。
こうなると王位戦第5局の戦い方がどうなるのか・・・
角換わり腰掛銀の最新型は木村九段が避けて別の戦型に誘導される可能性が高いので、おそらく豊島二冠は本局同様に相掛かりを選択しそうな気がします。
しかし、本局で負けているだけに選択するのは勇気がいりますね・・・
注目の王位戦第5局は8月27日(火)。
果たして、どのような戦いになるのか。。。

現在、棋界最高峰にいる渡辺三冠と張り合えるのは豊島二冠だと思っています。
木村九段の初戴冠も見たいのですが、豊島二冠には防衛を決めて渡辺三冠に対抗できる棋士として君臨してもらいたい・・・(*>ω<)人
・・・個人的な思いが少し出てしまいましたが、どちらにも頑張ってほしいです。

以上、最後までお読みいただき有難うございました。

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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