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羽生九段 千日手指し直しの大熱戦を制し決勝進出!

8月29日(木)に第69期王将戦二次予選 ▲近藤誠也六段vs△羽生善治九段の対局が行われました。

二次予選決勝進出を懸けた一戦で羽生九段が登場しました。
羽生九段の先手で始まった本局は序盤で千日手となり、まさかの指し直しとなりました。

指し直し局は先後が入れ替わり、後手の羽生九段が1手損角換わりから7二金型右玉へ。

第1図から20手ほど進み、第2図に。


右玉戦ということで膠着状態に陥りやすく千日手が心配される戦型ですが、羽生九段の右玉は積極的に攻める右玉。
本局も過去の対局同様、積極的な攻めを見せました。

第2図以下の指し手
△5五桂▲3八角△3五歩▲2七角△3六歩▲同角△3四銀▲3九飛△3五銀▲3三歩(第3図)

△5五桂で角を引かせ、△3五歩から桂頭攻めを敢行。

本来「右玉」は攻められにくい陣容にして相手が無理気味に動いてきたところにカウンターを合わせるのが目的の戦法であり、本局のように右玉から先攻するのは異例。
攻めにいったところに逆にカウンターを合わされるリスクがあるので怖いところだと思うのですが、羽生九段は毎回積極的に仕掛けられます(;’∀’)
類い稀なバランス感覚を持つ羽生九段だからこそできる戦い方で、他の棋士には真似できない指し方です。

第3図以下の指し手
△3六銀▲3二歩成△2八角▲4九飛△3七角成▲8八玉△8四歩(第4図)

▲3三歩に対する△3六銀は血気盛んすぎました。
ここは△4三角と逃げる手が優れました。
本譜は先手が桂損となりましたが角を持ち駒にできたことで銀冠の堅さ・遠さを生かして攻め合う展開が予想され、先手にも楽しみが出てきました。
第4図の△8四歩は良し悪しの判断は付きにくいのですが、羽生九段らしい曲線的な指し方で唸らされました。
のちのち▲8五桂と置かれて7三の地点に駒を打ち込まれる展開を未然に防ぐ手なのですが、終盤に差し掛かり1手の価値が大きいこの局面で▲8五桂を防ぐためだけの手を指すのは勇気のある指し方だと感じました。

第4図から10手ほど進み、先手が攻め合いに活路を見出すため▲6一角と打った第5図。

この手は悪手で羽生九段が的確に咎めました。

第5図以下の指し手
△7一金▲5一角△6二桂▲同と△同金上▲5二角成△7二玉▲4一馬(第6図)

△7一金と金を躱した手が読みの入った適切な受け。
▲5一角に△6二桂で先手の攻めが止まりました。
▲同と~▲5二角成としましたが△7二玉と引かれ先手はこれ以上攻めることができなくなりました。
仮に▲6二角成△同金▲7四馬としようものなら△7七歩と叩かれて痺れます。
先手はどう応じても形が大きく乱され寄り形。
よって▲4一馬と逃げましたが、後手玉から遠ざかる手なので先手としては辛い1手となりました。

第7図から10手ほど進み第8図に。

先手は攻め合いに活路を求めて駒を捨てながら後手陣に肉薄しています。
ここから形勢が大きく揺れ動きました。

第7図以下の指し手
△5一飛▲同馬△7四金▲6九桂△6一香▲7五歩△同金▲7三歩(第8図)

△5一飛~△7四金は最善の手順で後手有利。
苦しい形勢の先手でしたが、▲6九桂がいい勝負手でした。
△同銀成とするのは、この瞬間先手玉は何枚か駒を渡しても詰まない「Z(ゼット)」に近い状態になりますので、▲8一銀△同玉▲6二馬から殺到され後手敗勢となります。
▲6九桂に対する唯一の正着は△同竜!
以下▲同金△同銀成で詰めろがかかり、先手は受けに屈するところでした。
しかし後手陣はかなり薄く、時間が切迫している状況で飛車を切る選択は実戦的に難しかったと思います。
このタイミングで打った▲6九桂の勝負手が素晴らしかったです。
自陣が気になった後手は△6一香とテコ入れしましたが、これが悪手で形勢がひっくり返りました。
△6一香で横からの攻めには耐えれる状態になりましたが、本譜のように上部から攻められると△6一香が働かず、結果的に1手パスのような手になってしまいました。
▲7五歩~▲7三歩が上手い攻め方。
どう応じても先手の攻めが繋がり逆転!・・・となるところでしたが、この後さらに形勢が入れ替わることに。

第8図以下の指し手
△6三玉▲8二飛△6五銀!▲7二歩成△5四玉▲8四飛成△6六金▲5六歩△4七銀不成(第9図)

△6三玉に▲8二飛が悪手で先手はチャンスを逃がしました。
▲8二飛に代えて▲7一飛であれば先手優勢でした。
▲8二飛と▲7一飛の違いは本譜のように△6五銀▲7二歩成△5四玉と進んだ時、▲7一飛であれば▲6二と と金を取る手が7五の金取りになっており後手は攻守両面で指し手に屈していました。
飛車を打つ場所の僅かな違いでしたが、この差がとても大きく局面は互角に戻りました。

今度は後手に逆転のチャンスが到来しましたが▲5六歩に対する△4七銀不成が悪手で形勢は再び先手有利に。
後手は上部に脱出できる状況ではないので4七金を取りに行くよりは、先手陣を薄くするために△6九銀成と攻め合いにいかなければいけませんでした。
本譜は先手玉に余裕ができたので、1手勝ちが見込める局面になりました。
▲5五銀と上部を押さえて玉を下段に落とし、寄せきるまでもう一息でしたが・・・

第9図以下の指し手
▲6四竜△5二桂▲同馬△同金▲4四銀△3二玉▲3三歩△同桂▲6一竜△7七金打まで後手・羽生九段の勝ち

▲6四竜が1手バッタリの敗着。
△5二桂がピッタリの受けで先手に勝ち目がなくなりました。
▲6四竜に代えて▲6二と と金を取っていれば後手は受けが効かず、また先手玉に詰めろの連続で迫ることができないため先手が競り勝っていたと思います。
本譜は△5二桂に▲同馬から攻めましたが、角を渡したことで先手に詰み筋が生まれ、後手の逆転勝ちとなりました。

投了図以下、①▲同桂は△同金▲9八玉(▲同玉は△7九竜~△6六金まで)△8七金▲同玉△7六角▲9七玉△8八銀▲同玉△7九竜▲同玉△6七桂▲8九玉△7七桂▲7八玉△8七金▲6八玉△7九角まで。
②▲9八玉・▲9七玉▲は△8七金▲同玉△7六金▲9七玉△8五桂▲同歩△8六銀▲9八玉△8七銀成以下詰み。
③▲8九玉は△8八歩▲9八玉△8九角▲同金△8七金▲同玉△7六金▲9七玉△8五桂▲同歩△8六角▲8八玉△8七歩以下詰み。
上記の他にも変化は多岐にわたりますが、いずれも即詰みとなります。

本局は千日手指し直し局ということで互いに持ち時間が少なかったこともあり最善は逃しておりましたが、その中でも参考になる手が多々ありました。
第5図~第6図にかけて羽生九段が見せた受けの技術、また苦しい中で▲6九桂と玉を一時的に「Z(ゼット)」の状態を作り上げた近藤六段渾身の勝負手、こういった類の手を大会で出せるようになると好成績に繋がりますね( ー`дー´)
高難度の技術なので簡単に習得できるものではありませんが・・・(´・ω・`)
棋譜を並べて体感することで少しでも技術の習得に繋がりますので、是非 盤に並べて体感することをお奨め致します。
勝った羽生九段は挑戦者決定リーグ入りを懸けて、2次予選決勝戦で郷田九段と対戦します。
王将戦は挑戦者になるのがタイトル戦の中でも特に難しい棋戦ですが、羽生九段にはなんとか勝ち進み挑戦者になることを期待したいです(人≧へ≦)タイトル100期が見たい・・・

以上、最後までお読みいただき有難うございました。

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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