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老舗旅館『陣屋』を立て直したICT革命

王位戦第6局の舞台となった老舗旅館『陣屋』。
タイトル戦でよく使われる旅館であることと、『陣屋事件』の舞台としても有名で将棋ファンであれば誰もが知っている老舗旅館。

長らく将棋をしていなかったこともあり、昨日の王位戦で久しぶりに『陣屋』を思い出しました。
いつか旅行で利用したいな~と思いながら結局行ったことのない老舗旅館『陣屋』だったのですが、昨日たまたまネットで『陣屋』について情報収集していると「経営危機!」の文字が!?(。 ̄□ ̄)ツ

※安心してください、2009年の話です。

神奈川県秦野市にある鶴巻温泉。閑静な住宅街の中に、働き方改革の先端を走る老舗旅館「陣屋」がある。業界では珍しい週休3日を実現するなど注目を集めているが、10年前は10億円の借金を抱え、あと半年で倒産というところまで追い詰められていた。

当時はリーマンショック真っ只中の時期で私も会社でひぃひぃ言ってた時期でしたが、その裏で老舗旅館『陣屋』が経営危機だったことを昨日初めて知りました。
あれほどの歴史・知名度がある旅館でも経営危機に陥るとは・・・

今回、なぜ『陣屋』のことをテーマにしたかというと今の社長と女将である宮崎夫妻の経営手腕に感銘を受けたからです。

2009年当時、『陣屋』の経営状況は・・・
①先代社長の急逝・先代女将の入院
②リーマンショックの影響により資産が10分の1に激減
③負債が10億円に膨らむ
大きな要因を書きましたが、上記の他にも追加融資NG・老朽化など色々な問題を抱えていました。
リーマンショックの影響は大きく、他の旅館も大きな被害を受けており、鶴巻温泉の温泉街は旅館数が17軒⇒3軒に減っていたそうです。

これを見ただけで、普通の人は社長・女将を引き継ごうとは思わないですよね・・・
しかし、断ろうにも先代の社長がリーマンショックのような大不況が起こると想定しておらず相続人に息子の名前を入れていたため逃げることもできなかったそう・・・(-д-;)ぉぃぉぃ

最悪な状況の中、社長・女将を引き継ぐこととなった宮崎夫妻ですが、経営の実態を確認すると恐ろしい事実が発覚します。
①顧客情報・営業情報が前女将の頭の中や営業担当者の手帳にしかない
②webサイトが貧相で従業員の中でパソコンを使えるのが1人だけ
③従業員数が多く各々がどんぶり勘定で運営していたため、経費の管理がされておらず売上・コスト・人件費などが不明

・・・考えるのが嫌になる惨状ですね(´・ェ・ヽ)

経営立て直しに向け、宮崎夫妻が取り組んだ内容が下記の3つ。
(1)手書き管理からクラウド管理へ
(2)「貴賓室 松風」を有効活用
(3)従業員のマルチタスク化

(1)手書き管理からクラウド管理へ
エンジニアだった経歴を持つ宮崎社長が開発したクラウド型旅館システム『陣屋コネクト』により情報管理の正確性・レスポンスの早さ・情報共有を劇的に向上させることに成功。
主な機能としては予約・顧客・会計・売上・設備・勤怠などの管理がリアルタイムで可能になり、そのデータから経営分析が可能となっています。
『陣屋コネクト』はクラウドサービスで有名なセールスフォース(Salesforce)社を基盤として開発されたシステムです。
私の勤めている会社でも5年ほど前にセールスフォース社のシステムを導入しています。
今でこそCMなどの影響もあり有名なセールスフォース社ですが、2009年頃は知名度が皆無だったハズです。
株価を見ても今の1/10・・・
有名になる遥か前に目を付けた宮崎社長の先見性に驚かされました(;゚д゚)

(2)「貴賓室 松風」を有効活用
改革前の宿泊料は1泊13,800円でした。
しかしクーポン事業の台頭で値引き圧力に巻き込まれ、宿泊料は1泊9,800円にまで減少。
価格競争では勝てず、負債10億円を抱えているため増築も不可、回転率・稼働率の改善も困難・・・
万事休すかに思えましたが、宮崎夫妻が目を付けたのが『貴賓室 松風』。
明治天皇を迎えるために作られた特注の部屋で、タイトル戦でもおなじみの『貴賓室 松風』。
ここを一般のお客様でも泊まれるようにしたのです。
宿泊料金は78,000円と高価格帯にして、価格競争ではなく品質での勝負に切り替え。

(3)従業員のマルチタスク化
当時の従業員数は120名。
各々担当する業務が決まっており、担当ではない業務は一切関与しなかったそうです。
この体制を敷いていたことにより、従業員に空き時間が生まれ生産性が非常に悪くなっていました。
そこで従業員にシングルタスク⇒マルチタスクへの切り替えを求め、生産性を劇的に向上させることに成功しました。
現在では従業員数が1/3の40名で回せており、人件費を大きく削減することに繋げました。
ちなみにブラック企業のような働かせ方をしている訳ではなく、週休3日制でしっかり休みを取らせており、平均年収は280万円⇒400万円と理想的な働き方を実現されています。
離職率は1/10にまで減少と良い方向で働き方改革が進んでいます。

上記に記した通り、素晴らしい改革でしたが、創業100年越えの老舗旅館ということで反発があったことは想像に難くありません。
実際に20~30人の従業員が一斉に辞められたそうです。
サラリーマンの私も会社で似たような光景をよく見ます。
人は長年同じ業務に携わっていると知らず知らずのうちに楽な方に進み、それが習慣となってしまうため、いざその悪しき習慣を変えようとしても簡単にはできません。
私の勤めている会社で新しい機器・システムを導入しようとしたことがありましたが、不慣れな人達の反発により、なかなか旧来の仕組みから抜け出すことができていません。
近年、ICT化のスピードが非常に早く、新しい機器・システム(アプリケーション)に慣れていない人が置いていかれるデジタル・ディバイド(情報格差)が起こりやすい環境になりつつあります。
新しい機器・システム(アプリケーション)は時代のニーズに合ったものなので、これを使いこなせるかどうかで会社の業績に大きく響きます。
しかし、少子化の影響なのか日本はイノベーションが非常に起こりにくく、前時代の仕組みが残っている状態が散見されます。
そのような環境の中、イノベーションが最も起こりにくそうな老舗旅館を改革した宮崎夫妻の経営手腕に私は深く感銘を受けました。
宮崎夫妻のような素晴らしい社会人を目指したいですね^^

いつの日か『陣屋』に宿泊し、ITを活用した老舗旅館のおもてなしを体験したいと思います^^

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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