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阿久津八段 菅井七段を破り3勝1敗!

9月12日(木)に第78期B級1組順位戦 ▲菅井竜也七段vs△阿久津主税八段の対局が行われました。

ここまで菅井七段が4連勝、阿久津八段が2勝1敗で迎えたB級1組順位戦5回戦。
相振り飛車戦となった本局は非常に面白い将棋となりました。

先手の菅井七段は中飛車、後手の阿久津八段は向飛車。
第1図、通常はここから先手が玉形の整備、後手は飛車先の歩を突いて攻撃態勢を整えていくところですが、先手の菅井七段は居玉のまま駒組みを進める独創的な作戦を展開していきました。

第1図から20手ほど進み第2図へ。

後手の阿久津八段は飛車先の歩を交換して角・桂を使う基本通りの指し方。
対する菅井七段は玉形の整備にほとんど手をかけず、さらに攻撃態勢を作る奇想天外な駒組み。
個人的な考えになりますが、相振り飛車戦は矢倉や高美濃・銀冠など、守り駒が3段目まで盛り上がれると手厚さが一気に増し、高い確率で作戦勝ちが見込めると思っています。
今回、菅井七段が玉形の整備を後回しにして、攻撃態勢の構築を優先したのは、後手にこれ以上の駒組みの進展を許さないことが狙いだったのではないかと思います。
じっくりした展開になれば先手だけ矢倉囲いに組むことができ、作戦勝ちになる公算が高くなります。
ただ、この構想には重大な欠陥がありました・・・

第2図以下の指し手
△6四歩▲同銀△7四歩▲9四歩△同歩▲9三歩△同香▲8五桂△8二銀▲5四歩△同歩(第3図)

△6四歩が先手の独創的な駒組みの欠陥を突いた好手。
▲5六銀と逃げるのは△6三金左~△7四歩~△8二銀~△7三銀といった要領で金銀を盛り上げることが可能になります。
こうなると先手は一目散に銀を6五まで進めた手や7筋の歩を交換した手が無駄になり、今までの独創的な駒組みが水泡に帰します。
本譜は▲6四同銀と歩を取りましたが△7四歩が継続手。
次に△6三歩の銀挟みがあるため、先手はここで動かなければいけなくなりました。
先手は9筋に手を付け飛車角銀桂香が攻めに参加できる状況になり、部分的には攻めが続く形になっているのですが、居玉という致命的な欠陥を抱えております。
先手は攻めれば攻めるほど強烈なカウンターが待っているので思い切った攻めができません。
本来は守りのテコ入れが必要なのですが、今回は△6三歩の銀挟みがあるので守りに手をかけることが不可の八方塞がりとなっています。
後手は労せず局面を優位にもっていくことに成功しました。

第3図以下の指し手
▲5三歩△6三金左▲同銀成△同金▲6八金△7六銀▲5二歩成△8五銀▲4二と△同飛▲2三金△6八角成▲同飛△4五桂(第4図)

忙しくなった先手は▲5三歩として活路を求めますが強く△6三金左とした手が好判断。
先手は居玉で強い戦いができないので駒を渡すと、その分カウンターが強烈になり先手玉は脅威にさらされます。
次に△7六銀の桂取りと△6七銀成を狙う手があるので先手はこの手を防がなければいけません。
先手はここで▲6八金としましたが、この手がどうだったか・・・
後手が的確にこの手を咎めました。
▲5二歩成に△8五銀とした手が的確な形勢判断に基づいた好手。
玉の近くに出来た「と金」を放置するのは怖いところですが、後手の金銀飛が良く利いていて先手は有効な攻撃手段がありません。
▲6二金▲としても△同金と取られて攻撃が続かず、また▲5三金としても△5二銀とされ攻めが続きません。
本譜は▲4二と~▲2三金と反対方面からの攻めに切り替えましたが、△6八角成が先ほどの▲6八金を咎めた強手!
ここでは下手に角を助けようとすると先手の攻めに調子がでてきます。
本譜のように働きの悪い角を切り、眠りかけていた桂を跳躍させたのが駒の働きを最大限に生かす本筋の手順。
駒の働きが大きいことと、先手の大駒が狙われるだけの駒となっているため、第4図ははっきり後手優勢になりました。

第4図以下の指し手
▲3三金△4一飛▲4九玉△6五歩▲7七角△2八歩▲4三金△同飛▲5二銀△7六金(第5図)

先手は遅まきながら▲4九玉と居玉を解消しましたが△6五歩が地味ながら痛い1手。
相振り飛車戦において6六角・4四角は攻防に利きやすい好位置なのですが1歩で追いやられ攻防共に厳しい状況となりました。
△2八歩がこの形で頻出する覚えておきたい手筋の歩。
▲同金は壁形になり寄せられやすくなるので、先手は取りづらい状況。
▲4三金~▲5二銀と紛れを求めに行きましたが、手抜いて△7六金が決め手。
角取りですが、真の狙いは△5六桂~△6七金とすり込む攻め。
先手は居玉のため、こういった単調な攻めでも受けに屈する状況となっています。
本譜この後、△5六桂~△6七金の攻めが実現し、後手・阿久津八段の勝ちとなりました。

本局は菅井七段が独創的な駒組みを見せ、後手が対応に苦慮しそうな序盤戦でしたが、さすがは阿久津八段でした。
難しいことは一切せず、自然な指し回しで後手の無理攻めを誘発し、徐々に優位を拡大して勝ち切る盤石の戦いでした。
第3図~第4図にかけては、守⇒攻への切り替えのタイミングが絶妙で非常に勉強になる指し方でした。
相振り飛車戦ではこのような『無理攻めを誘発』⇒『守り切る』or『守⇒攻への切り替えで攻め潰す』といった展開になりやすいので、本局は阿久津八段にとって理想的な将棋でした。
相振り飛車をよく指す方は棋譜を並べてこの指し方を堪能してください^^
以上、阿久津八段の攻守の切り替えが光った一局をお届けしました。

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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