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佐藤九段 剛腕を発揮し連勝スタート!

9月13日(金)に第78期A級順位戦 2回戦 ▲木村一基九段vs△佐藤康光九段の対局が行われました。

9月の中間日ということで仕事が忙しく、この将棋は棋譜並べするだけにしようと思っていたのですが、非常に面白い内容だったので紹介させていただくことにしました。

戦型は後手・佐藤九段のダイレクト向かい飛車。

第2図は中盤から終盤戦に入ろうかという局面。
ここまで先手が細かくポイントを重ね、形勢は若干先手有利。
ここから壮絶な殴り合いが始まります。

第2図以下の指し手
△4五銀▲6五歩△8四桂▲6四歩△7六桂▲7七玉△5四銀▲6三歩成△同銀上▲5五歩△同銀▲6七金右△3六歩▲2二角(第3図)

△4五銀に▲同歩とする手もありますが△2八馬▲3八飛△1九馬と進み先手としては面白くないところ。
そこで▲6五歩と馬筋をずらそうとしましたが△8四桂が佐藤九段らしい切り返し。
馬を取り合い▲6三歩成としたところ、普通は▲同銀引と離れ駒を作らず守りを固めるのが自然な1手ですが、本譜は△同銀上!
ここでは攻め駒をどれだけ前線に供給できるかが重要で、この局面では最善手。
分かっていても指せない・・・( ̄  ̄;) 
さらに▲5五歩とされ後手陣は離れ駒だらけで空中分解寸前。
▲2二角と飛車銀両取りを掛けられ後手が困ったようですが、ここから佐藤九段がさらにギアを上げます。

第3図以下の指し手
△3五飛▲3六銀△6六歩▲7六金△3八歩▲3五銀△3九歩成▲5五角成△5七飛▲6六玉△4八角(第4図)

△3五飛▲3六銀に△6六歩が強手!
▲同金は△同銀▲同角成△6五金、▲3五銀は△6七歩成▲同玉(▲同金は△8八角)△5六角▲5八玉△7八角成でいずれも後手勝勢。
本譜は▲7六金と金を逃げながら桂馬を外しましたが、ここでも後手は引かずに△3八歩。
▲同飛は△5六角もしくは△4九角とされた手があるので取りづらいところ。
よって飛車を取り合いましたが、手番を握った後手は△5七飛の王手馬取りから△4八角と激しく攻め合いにでます。
第4図の局面、先手が銀1枚得をしており厳密には先手が良いのかもしれませんが玉形が悪く陣形をまとめづらいため、実戦的には非常に難解な形勢です。

ここからが本局のハイライト。
会長の剛腕をとくとご覧あれ。

第4図以下の指し手
▲7四桂△同銀▲同歩△5八飛成▲5七歩△同竜▲6五玉△6四歩▲同馬△7二桂(途中図)▲9四桂△同香▲9一銀△同玉▲7三歩成(第5図)

△5八飛成に▲5七歩は手筋。
△同角成は竜の利きが止まるので▲7七玉と逃げることができます。(5五馬が取られない)
本譜は△同竜とし、以下△6四歩▲同馬△7二桂(途中図)とギリギリの攻防。
ここが本局最大の見せ場となりました。


▲5五馬は△6四歩、▲7三歩成は△同桂が逆王手となるので先手が困ったようですが、ここで先手には唯一の勝ち筋がありました。
それは▲7五桂!△6四桂▲7三歩成で①△同玉は▲6三飛△7二玉▲7三歩△同桂▲7四玉、②△同桂は▲7四玉△7二金▲6二飛でいずれも勝ち筋。

凄まじい手順で、上記は局後の感想戦で佐藤九段が指摘された先手唯一の勝ち筋となる手順。

あ…ありのまま 今起こった事を話すぜ!
攻守の要である馬をボロッと取らせる………!!!
さらに▲7三歩成に△同桂と逆王手を食らえば勝ち筋に入る!!!
な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった……恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……

引用元:ジョジョ第27巻P.48~49

まず攻守の要である馬を取らせるという発想が短時間では思い付きません。
さらに▲7三歩成に△同桂と逆王手になる時点で普通の人は読みを打ち切ると思います。
常識では考えられない手順ですが、この局面においては最善で先手唯一の勝ち筋でした。
後手は金銀などの駒がないので、この局面では先手は馬を残すより7三桂馬の上に潜り込む方が安全度が高かったのです。
7四に玉がある状態は7六金・8六銀・7五桂がよく利いており、先手は「Z(ゼット)」の状態で絶対に詰みません。
ただこの手順は・・・思い浮かばないし、思考の片隅にあっても1手を争う終盤で逆王手で手番を握られるので非常に選択しにくいです(´;д;`)木村九段に運が無かったとしか言いようがありません。

時間が切迫してきている中、この変化を読んでいたとは・・・
さすが1秒間に1億と3手読む棋士!
木村九段にとって、さらに不運なことに▲7五桂以外で有利になる変化はありませんでした。
▲9四桂が敗着。
第5図、佐藤九段が決め手を放ち勝利を決定付けます。

第5図以下の指し手
△5四竜▲同馬△7三桂▲5六玉△5四歩▲6七玉△6四桂▲5七歩△5九角成▲9二歩△8二玉まで後手・佐藤九段の勝ち

△5四竜が決め手。
無理やり馬筋をずらして△7三桂と王手で急所のと金を払い後手玉に怖いところが無くなりました。
後手は詰めろの連続で迫れば勝てる状況になり局面が分かりやすくなりました。
投了図以降、後手玉に詰みはなく、また先手玉は有効な受けが無く1手1手の寄り筋に入っており投了はやむを得ません。

本局は序盤から終盤の入口まで木村九段が非常にうまく指されており有利な状況を作り続けていましたが、それ以上形勢の差を広げる事ができませんでした。
木村九段が悪かったというよりは佐藤九段の終盤が強すぎましたね。
本局のターニングポイントとなった第4図~第5図にかけては、時間が切迫した中で先手が正確に勝ち筋を読み切るのは非常に難しかったと思います。
この局面にもっていった佐藤九段の終盤術が素晴らしかったですね。

本局の結果、佐藤九段は開幕2連勝を飾り、渡辺三冠と並び首位に立ちました。
近年、佐藤九段は降級の危機を迎えることもありましたが、上位に食い込んでいる確率も高いので、今期は名人挑戦権獲得を期待したいですね^^

以上、最後までお読みいただき有難うございました。

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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