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羽生九段 稲葉八段との相右玉戦を制し2勝1敗

8月23日(金)に第78期A級順位戦 3回戦 ▲稲葉陽八段vs△羽生善治九段の対局が行われました。

ここまで稲葉八段2連勝、羽生九段1勝1敗で迎えたA級順位戦3回戦。
名人への挑戦権獲得に向けて共に勝ちが欲しい一戦は大変珍しい相右玉の戦いとなりました。

右玉は攻め所がなかなか見つからない戦法で千日手になる可能性が高い戦法です。
それが両者とも右玉ということで、さらに千日手の可能性が高くなりそうに思えました。
どのように打開するのかな・・・と思っていた第1図、羽生九段が意表を突く仕掛けを敢行しました。

第1図以下の指し手
△6九角▲7七角△3五歩▲2九飛△4七角成▲同金△3六歩▲同金△3五歩▲同金△4四銀▲同金△同歩▲3六歩△4五歩(第2図)

△6九角が意表の1手。
ゆっくりした展開になると1筋の位が大きく先手に分があるということで後手は思い切った仕掛けを見せました。
一見無理な攻めに見えますが、驚くことにギリギリ成立しているようです。
△6九角は次に△7八角成▲同銀△8八歩(もしくは△8八金)で8筋を突破する狙いがあります。
先手は▲7七角として8八の地点をケアしましたが、△3五歩が△6九角の筋を生かしたもう一つの攻め筋。
先手は▲2九飛と角に当て、以下△4七角成から角銀交換となりました。
後手は駒損しましたが、右玉の弱点を攻めているので形勢は互角です。
この後、後手は先手の守り駒の金をはがすことに成功。

第2図の△4五歩が参考になる攻めの手筋。
次に△4六歩と取り込まれると大きな拠点が残り後手優勢となるので、この歩は取る1手。
▲同桂は△4四歩で桂馬が捕獲されるので、▲同歩としましたが・・・

第2図以下の指し手
▲同歩△4六銀▲5六銀△3五歩▲同歩△3六金▲5八玉△3七銀不成(第3図)

4六に空間を作って△4六銀がしつこい攻め方。
次に△4七金と上から押さえられると先手は苦しくなるので▲5六銀としましたが△3五歩とされ、なかなか後手の攻めを振りほどくことができません。
この後の数手の応対がまずく、第2図の桂馬を取られた局面は後手の食い付きが成功し、先手は苦しい形勢となりました。

△3五歩に対して本譜は▲同歩と応じましたが、ここは▲4七銀打として後手の攻撃拠点となっている4六銀を外しにいく方が優れました。
また、△3六金に対する▲5八玉も最善ではなく、あっさり桂馬を取らせないよう▲2五桂と1回逃げておくべきでした。
本譜、先手玉を左辺に逃がすことができましたが、後手陣への攻めの取っ掛かりがないため、後手のゆっくりした攻めが間に合う展開となりました。

第3図から20手ほど進み、後手優勢で迎えた終盤戦の第4図。

▲8五桂と跳ねられ、後手は次に▲7三角と打ち込まれる手が気になるところですが・・・
百戦錬磨の羽生九段は的確な状況判断で勝利を手繰り寄せました。

第4図以下の指し手
△6七成桂▲同金△8六歩▲8八玉△5七金▲7七金△7五歩▲9八玉△7六歩▲8六金△7七歩成▲同角△6七金(第5図)

△6七成桂~△8六歩が自玉の安全度を見極めた鋭い踏み込み。
金銀を渡しても、まだ後手玉に詰みはありません。
それを見越した攻めですが、実戦で指すのは非常に勇気のいる攻めです。さすが生ける伝説!
△8六歩に▲同歩は△8七銀とされ、▲7八桂と受けても△7六桂とされた手が△8八銀打からの詰めろと同時に△8五飛と攻め駒の桂馬を取る両狙いになっていて先手は持ちこたえる事ができません。
▲8八玉と顔面ブロックで受けましたが△5七金が凄い踏み込み。
▲同金は△7六桂▲7七玉△8七歩成▲同玉△8五飛で変化は多岐に渡りますが寄り筋。
▲同飛も△同成銀▲同金△7六桂で上記と似た手順で寄り筋。
よって▲7七金と躱しましたが、△7五歩が厳しい急所攻め。
先手玉が8八に上がり、金が7七に逃げたところなので△7六歩と取り込まれる手がすこぶる厳しい手になりました。

第5図、4八にあった先手玉は9八まで逃げましたが遂に追い詰められました。
ここは既に後手勝勢。羽生九段が着実に先手玉を仕留めました。

第5図以下の指し手
▲7三角△7二玉▲1一角成△同飛▲8九桂△8八歩▲6八歩△8九歩成▲6七歩△8八銀▲8九飛△同銀不成▲同玉△8八歩まで後手・羽生九段の勝ち

▲1一角成は一瞬ハッとする手ですが冷静に△同飛で問題なし。
▲8九桂のところ先手は▲8四角成としたいのですが、△8九角▲同玉△8八歩▲同玉△7七銀▲9八玉△8九銀▲同玉△7八金▲9八玉△8八金までの詰みがあります。
▲8九桂と上記の詰み筋を防ぎましたが△8八歩が正確な速度計算に基づいた1手。
▲8四角成としても後手玉に詰みはないため△8九歩成と詰めろをかけられ後手勝勢。
歩で攻められると粘りが効かなくなるので先手は痺れました。
このような歩を使った攻め方は覚えておきたい手筋ですね。

△8八銀に▲8九飛としましたが、これは粘りになっておらず即詰みとなりました。
投了図以下、①▲8八同玉は△7六桂打▲同金△同桂▲7八玉△8八飛▲7七玉△6八角▲7六玉△6五金まで。
②▲7九玉は△6八銀▲同玉△7六桂打▲同金△同桂▲7七玉△6八角▲7六玉△6五金まで。
③▲7八玉は△8九銀▲8八玉△5八飛▲8九玉△7七桂▲7九玉△8八角まで。
④▲9八玉は△8九銀で以下は上記と同じ手順で詰み。
いずれの変化も即詰みとなっております。

本局は羽生九段の細い攻めを繋げる技術が光った快勝譜でした。
相右玉戦であのような仕掛けがあるとは・・・
右玉勉強中でしたので大変参考になりました。

以前から思っていましたが、曲線的な指し回しが求められる右玉は羽生九段の棋風にバッチリ合ってますよね。
よくよく考えてみると羽生九段が右玉で負けている将棋を見たことがない気が・・・
最近、羽生九段の右玉をよく見ますが、どの将棋も色々な技術が盛り込まれており非常に勉強になります。
マネできるものではないかもしれませんが、覚えておきたい手筋が頻出してます( *• ̀ω•́ )b グッ
右玉を勉強中の方は是非とも棋譜並べしてください!

以上、最後までお読みいただき有難うございました。

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habuparov
会社での出世を目指し、毎日奔走しながら働く地方住まいのサラリーマン。仕事のことから趣味の将棋のことまで気まぐれに書いています。

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